ダンクソフトは、2032年に設立50周年を迎えます。2024年は、その50周年に向けて新しい一歩を踏み出し、羅針盤となる「グランド・ナラティブ(大きな物語)」をつくった年でもあります。そこで、ダンクソフトの3人のマネージャーたちが集まり、代表の星野とともにこの1年を振り返り、50周年に向けた想いを語り合いました。
参加メンバー
星野 晃一郎 株式会社ダンクソフト 代表取締役
多田 弦 Webチーム マネージャー
澤口 泰丞 開発チーム マネージャー
竹内 祐介 シニアマネージャー
┃「ポリバレント」がいっそう求められた2024年
星野 ダンクソフトにとって2024年は、メンバーがかなり入れ替わりました。マネージャーも、今日集まった3人による新体制になりました。総じてチームが大きく変わった年でしたね。3人は振り返ってみて、どんな印象を持っていますか?
竹内 そうですね。星野さんがおっしゃるように、メンバーも大幅に変わって、マネージャーにも、メンバーにも、いっそう「ポリバレントであること」が求められた年だったように感じます。ポリバレントとは、状況や場面に応じて、フレキシブルに多様な役割を果たせる人のことで、ダンクソフトがスタッフに求める大事な資質のひとつですよね。
それとあわせて、全体的にコミュニケーションが活性化し、チーム間の交流が一挙に活発になりましたよね。
澤口 開かれた組織へと向かう上では、多田さんが新しくWebチームのマネージャーになったことが大きな変化といえるかもしれないですね(笑)。
星野 多田さん、新しくマネージャーになってみてどうですか?
多田 僕はこれまでチーフエンジニアという立場で働いてきたのですが、ふだんから口数が少なくて、社内では“しゃべらない人”だったんですよね。それがマネージャーになって、みんなと会話することが格段に増えました(笑)。おそらく、就任1か月で、昨年1年分のコミュニケーションをすでに大きく超えていると思います。それが自分にとって一番の変化です。
澤口 多田さんがマネージャーになって、チーム間でやりとりする情報の量が増え、透明性が高まったと感じています。
竹内 それと、多田さんのマネージャー就任は、Webチームみんなで話し合って決めたことなんですよね。チームとしての自発性というか、メンバー同士の対話が増えたことを物語る、大きな変化かもしれないですね。
星野 がらっと人も体制も変わりましたが、それがよい方向、よい方向へと化学反応した1年でした。
多田 くわえて言うと、Webチームには、新しいメンバーが入りました。単に増えたというより、この新たな出会いは、チームに多様性をもたらしてくれているんですよね。これもよかったことのひとつです。
ダンクソフトの採用情報はこちらをご覧ください。
澤口 来年4月には、また新卒の方々が入社予定ですね。さらに東京オフィスで私と一緒に動ける開発チームの新メンバーも、募集中です。
星野 ということで、「マネジメント力」もさることながら、今年は若いメンバーをはじめ、「一人ひとりの力」も大きく伸びた手応えがあります。40周年を終えて、50周年を目指すためのいいチームができましたね。
┃みんなのアイディアが次々と重なってアップグレードした、全社員参加の経営会議
竹内 そういう意味では、今年、「マネージャー会議」が「全社会議」へと変わったことも象徴的な変化かもしれませんね。
これまでダンクソフトでは、社長の星野さんとマネージャーたちが参加する「マネージャー会議」がありました。今までは、ここで全社的な方針などを決め、それを議事録という形で社内に伝えてきました。でも、よく考えれば、マネージャー限定の会議といってもメンバーたちに隠すような話題はほとんどないことに気が付きました。ならば、メンバー全員参加の会議にしてしまおうと——。
澤口 そこで、名称を「全社会議」に変えることを提案しました。誰でも参加できるものになったので、もはやマネージャー会議と呼ぶにはそぐわないですからね。
竹内 澤口さんの提案を受けて、名称を変えた後も、別のメンバーからいくつかのアイディアが出されました。いまは、全社員が参加して会社のことを話し合う会議へと変わろうとしています。「全社に開こう」と提案したのは私ですが、その提案に澤口さんや他のメンバーたちが次々とアイディアを重ねてくれて、生成的に進化していることが新鮮で嬉しかったですね。
星野 確かにこれまでは、私が伝えたいことが、なかなかメンバーたちまで届かないという感覚がありました。今回の変更で、伝達や共有のスピードが格段に増しましたね。これからも、スタッフ皆さんの経営への参加意識が高まることを期待しています。
澤口 竹内さんが言うように、メンバーたちに隠すようなことはほとんどないわけですよね。それよりもいわゆる「伝言ゲーム」になって、伝えたい情報が抜け落ちてしまう方が怖い。こちらから一方的に情報を伝えるのではなく、メンバーそれぞれが新しい情報を持ち寄れる場になれば、さらによい対話の場になると思いますね。
┃多様な人たちと協働できる機会をもっと増やしていく
澤口 開発チームとしての新しいチャレンジは、「やさしいまちづくり総合研究所様」(以下、やさまち総研)とのプロジェクトがあげられると思います。これまでいろいろな会社と仕事をしてきましたが、「やさまち総研」さんのような、新しく立ち上げるスタートアップと、いちから協働するのは初めての経験です。とても新鮮で、私としても学ぶべきことがたくさんあります。
竹内 「やさまち総研」さんには、「日報かんり」など、ダンクソフトが開発したアプリケーションを提供していて、今のところ、高い評価をいただいています。
星野 以前にこのコラムで「やさまち総研」さんとのダイアログを行いました。つい先日もお会いしたところ、すごくうれしそうな面持ちでダンクソフトのアプリケーションを語ってくださり、評価してくださいましたね(笑)。
竹内 先日は、ダンクソフトも共催企業として関わっている「インターミディエイター・フォーラム」で、全国のさまざまな企業・団体の人たちと対話する機会がありました。私自身、そこからたくさんの刺激をもらいました。来年は、そんな多様な人たちと一緒に仕事ができる機会を、もっと増やしていきたいと思っています。
┃リーダーはいらない。ダンクソフトのマネージャーは、目線を合わせて「なんとかする人」。
多田 私は、マネージャーになる際に、星野さんと改めていろいろ話す機会があったのですが、ダンクソフトのマネージャー像って、他の会社とちょっと違うと思うんです。英語でいうところの、”manage to do”で、“なんとかする、何とかやり遂げる”という意味合いがつよいのですよね。
星野 そう。僕らはよく社内では、「なんとかする役割の人」というような言葉を使っています。一般的な日本企業の、いわゆる「管理職」のイメージとはぜんぜん違います。マネージャーの日本語訳は管理者ですが、ダンクソフトの場合は、管理する人ではありません。
竹内 僕が意識しているイメージは2つあって、1つはお笑い芸人さんのマネージャー。タレント——うちでいうならばメンバーにあたるわけですが、彼らが力を存分に発揮できるように環境を整える人ですね。もう1つのイメージは、高校の部活のマネージャー。2つとも、一方が偉いというわけではなく、どちらも必要な役割で、補完関係で成り立っています。
澤口 僕もマネージャーになった時にいろいろ考えたのですが、頭に浮かんできたのは、やはり部活のマネージャーでした。みんなが100%活躍できる場をつくる人といった意識を持って、メンバーたちと接しています。
多田 私はマネージャーになったとたんに感じたことがありました。それは、チーム・メンバーとのあいだに、今までとは違う関係が生まれそうになってしまうことがあるということです。わかりやすく言うならば、マネージャーがリーダーで、メンバーがフォロワーのような、つまり上下関係になってしまいがちです。ですが、ダンクソフトの場合はそうじゃなくて、「目線を合わせて対話していく関係」でありたいわけです。チーム・メンバーとの関係で、そのへんのギャップを感じた時は、随時話し合っていくことを意識しています。
竹内 リーダーシップについては、うっかり出してしまわないようにふだんから気をつけています(笑)。その気配が伝わると、メンバーたちも「指示待ち」みたいになってしまうので。
澤口 僕も同じ理由で、リーダーはいらないと思っています。リーダー・フォロワーという関係よりも、目指したいのはもっとフラットな関係ですね。
星野 僕自身が、そもそも「リーダー・タイプ」ではありません。複雑で多様なこれからの時代に、強力なリーダーがいると、逆に「指示待ち」現象や「サイロ化」など、組織自体がへんな方向に行きがちだと考えています。でも、こうして3人の開かれたマネージャーたちの話を聞くと、ダンクソフトがよいチーム体制に向かっていると、改めて実感しますね。
┃たとえ忙しさに追われようとも、「コ・ラーニング」の時間を大切に
竹内 2024年を振り返って、反省点を1つあげるなら、「コ・ラーニング」の時間がつくれなかったことでしょうか。メンバーたちの学びの時間を増やそうと、今年は勤務制度まで改革したのですが。忙しさに追われてなかなか実践することができなかったですね……。
多田 それはWebチームでも同じです。そこで、新たに、1日30分ほど、通常の勤務時間内にメンバーが共同で学ぶ時間を設けました。これがなかなかいい効果が出ています。それでもコ・ラーニングについてはまだまだというのが実感ですね。
澤口 ダンクのメンバーは、そもそもみんなデジタルが好きで、休日に趣味としてプログラミングをやっているメンバーもいるほどです。そんな趣味のことなどもみんなで共有できれば、新しいアイディアが生まれるヒントになるのではないでしょうか。コンピュータ関係じゃなくても、スポーツでもダンスでもなんでもよいと思いますので(笑)、新しい情報を学びあえると刺激になりますよね。
あとコ・ラーニングということでは、来年は内向きばかりでなく、社外のいろいろな人たちから学ぶ機会も増やしていきたいです。
星野 ITの世界にいる限り、自ら進歩していかないと生き残れないということは、誰でも感じていることだと思います。僕はこの業界に40年いますが、大きなパラダイム・シフトを何回も経験してきました。そのたびに、新しいことを取り入れて、先を見据えて情報を取り入れたり、行動を変化させたりしてきています。こうしたことを、皆さんがちゃんと意識するようになったことは、僕は新しい変化だと非常にポジティブにとらえています。50周年に向けたグランド・ナラティブでは、ダンクソフトがテックスクールになるというイメージを掲げました。社内外がダイナミックに交流しながらのコ・ラーニング環境を、さらに整えていきたいですね。
┃50周年に向け、内にも外にも、開かれた「対話する企業」へ
星野 ダンクソフトは、メンバーや体制が大きく変わって、50周年に向かっていいスタートがきれました。新しいメンバーたちも参加して、2025年4月にも新卒スタッフが加わり、いい意味で、さらに変化していくでしょう。最後に、50周年に向けてひと言。
竹内 先日、ダンクソフトの全社員が集まるDNAセミナーを実施しました。あの時、ダンクソフトには、「多様性と対話」を大切にする、よい土壌ができつつあるなと感じました。僕は、土壌とか文化はすぐにはできない、長い時間をかけて培っていくものだと思っています。それでも、いい文化ができつつあるのは嬉しかったですね。
そんな自分が想い描いている50周年のイメージは、全メンバーから、業務に直結するしないにかかわらず、次々と新しいプロジェクトのアイディアが湧き上がってくる会社です。どれを選んだらよいのか悩むくらい、プロジェクトのアイディアにあふれた会社を目指したいと思っています。
澤口 うーん、僕も同じことを考えていたんですよ(笑)。50周年を迎えて、記念のプロジェクトをやろうとなったとき、みんなからあれもこれもやりたいと声があがって、お祭り騒ぎができるような会社になれたら楽しいですよね。
多田 僕は、仕事寄りの話になってしまうのですが、たとえばお客様とか、もっと外の人たちとコ・ラーニングできる環境をつくっていきたい。Webサイトって、運用やデザインなど、お客様と共にできることが意外に多いんです。そこをコ・ラーニングして、しかもコ・ラーニングから対価が生まれるような場づくりの新サービスが生み出せたら面白いと思っています。
星野 多田さんは仕事寄りといいましたが、それもプロジェクトのあり方の話ですよね。すごくいいじゃないですか。
さて、この何年かのうちにデジタルのスピードはさらに1桁も2桁も速まっていくと考えています。先日は社内の若手が、10ギガのLANはいつ使えるようになるのかと話していましたが、近いうちに、本当にクオリティの高い画像がやり取りできて、立体的な動きになるコミュニケーションが実現してくるでしょう。そうすれば、離れた場所で仕事をしていても、リアルでのコミュニケーションとますます大差ないコミュニケーションが可能になります。実際に会わないと話がつかないというような錯覚が、おそらく相当なくなってくると思います。
多田 早い時期からテレワークの実証実験をしてきた私たちとしては、また先駆的に、次の動きもつくっていける存在になりたいですね。
星野 いいですね。そうした未来に、「スマートオフィス構想」はどうなっているのか。きっとますます面白くなっていると思いますね。ダンクソフトは今も、社外のお客様やパートナー、地域の方々との連携があり、開かれた企業です。50周年の頃には、デジタル・テクノロジーを享受しながら、社内にも、社外にも、さらに開かれた企業、対話する企業になっていきたいものです。