スマートオフィス化を妨げる2、3の思い込み:スマホができれば誰でも実現できる

ダンクソフトが以前から提唱してきた「スマートオフィス」が、最近、ようやく注目を集めるようになってきました。皆さんに、これからの未来に対応できる企業になるために、さらには未来を先取りする企業になるために、ぜひ実現していただきたい「スマートオフィス」について、何回かのコラムにわけてご紹介しています。 

 

第2回目となる今回は、スマートオフィスを考えるにあたっての“マインドセット”についてお話しします。 

 

デジタルに苦手意識を持つご年配の方の中には、スマートオフィスと聞くだけで敬遠しがちの人も多いのではないでしょうか。ですが、実は、日々使っているスマホを操作できるくらいの知識さえあれば、実現できるものなのです。 



 ▎スマートオフィスは身近なところから始まっている 

 

先日、ある映像ディレクターと久しぶりに食事をする機会がありました。ダンクソフトは今から12年ほど前、徳島県神山町に、本格的なサテライト・オフィスを開設しました。その様子をNHKの番組で紹介してくれたディレクターが彼でした。当時のダンクソフトの先進的な取り組みなどで話が盛りあがったのですが、最近の話題として、彼から面白いことを聞きました。テレビ番組の制作現場で、台本などの資料にタブレット端末を使用するなど、ペーパーレスが進んでいるそうなんです。うれしいことに、当時のダンクの取り組みに触れたことで、彼自身が、新しいスタイルを現場に持ち込んだようでした。 

同じ時期に、あるテレビ番組で興味深い光景を目にしました。ラジオ局の制作現場を紹介した映像でしたが、ここでも同じようにペーパーレスが進んでいました。オフィスの様子も、ダンクソフトのオフィスと同じぐらいにすっきりとして、とても洗練されたものになっていました。 

 

テレビやラジオの制作というと、あちこちに紙があふれ、アナログ的でとてもハードな仕事……とイメージする人も多いのではないでしょうか。ところが、そんな仕事も様変わりしているようです。  

▎「仕事が“楽しく”なる」こそ、スマートオフィスの大切なメリット 

 

さらに身近な話をするならば、私たちの暮らしの中にもペーパーレスやデジタル化が進んでいます。例えば、Suica(スイカ)をはじめとする鉄道のICカード乗車券です。かつては、まず行き先を確認し、次に券売機にお金を投入し、そしてボタンを押して印刷された切符を購入していました。今ではICカードやスマホをタッチするだけでスイスイと乗り降りできます。もはや渋谷・神田間の電車代がいくらかなんて気にしている人もいないですよね。毎日のように電車に乗っても、無意識で利用しているあまり、その便利さすら忘れかけているくらいです。 

 

高速道路のETCカードなども同じ例でしょう。ゲートで物理的な現金授受がなくなって、完全にキャッシュレスになりました。このようなペーパーレス・キャッシュレスでデジタル化が進んだ結果、私たちの生活は、もう過去を想像できないくらい便利になっています。 

 

一方、利用者だけでなく、鉄道会社など、ペーパーレスやデジタル化を実施する側の企業が受ける恩恵は、それ以上だと思います。日々の業務が効率化し、収益も高まっているはずです。その分、社員たちはサービスの向上や新事業の開拓といった創造的な仕事に力を注げるようになります。働き方も変わり、やる気もアップして、“楽しく”仕事に向き合えるようになります。この「仕事が“楽しく”なる」ということは、実はスマートオフィスの大切なメリットなんですね。  

▎思い込み1:「デジタルが苦手だ」という思い込み 

 スマホを操作できれば実現できる 

 

皆さんの中には、「デジタルが苦手」というだけで、スマートオフィスを敬遠している人も多いかもしれません。けれども、今の話のように、皆さんの生活は知らずのうちにどんどん“スマート”になっているわけですね。 

 

実際、今ではどんなご年配の方でも、だいぶ普通にスマホを利用していると思います。毎日、家族や友人とLINEなどでやりとりし、趣味の画像やお店の情報を送り合ったりしているのではないでしょうか。遠距離のお孫さんとのテレビ電話を楽しみにしているといった話もよく耳にします。このように「デジタルが苦手」と思い込んでいる人でも、実際にはかなり上手にデジタル・ツールを活用しています。 

 

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そして、これこそぜひお伝えしたいことなのですが、それだけのスキルがあればもう十分にスマートオフィスを実現できます。 

 

実際、私は、情報の共有から稟議の承認まで、仕事のほとんどをスマホで済ますことができています。電車に乗っている間など「スキマ時間」を活用してどんどん仕事をこなしています。仕組みだけつくってしまえば、スマホである程度の仕事ができるようになるわけです。  

▎思い込み2:「デジタルはお金がかかる」という思い込み 

 投資以上の大きなメリット 

 

もうひとつ、よくある思い込みをあげると、「デジタルはお金がかかる」ということですね。機械などを入れる設備投資と違って、デジタルは目に見えないのでわかりづらいでしょうか。 

 

たとえば、1日15分、スマートオフィス化で効率が上げられたら、1年は365日ではなく、368日になります。1年間働くと、約2.7日の時間が浮くことになるんです。オフィスから紙がなくなり、情報共有もできて、効率があがり、スタッフの笑顔も見られて、2.7日分も時間が増える。会社のコスト削減につながったり、創造的な仕事を増やしたりできて、その結果、利益にも反映されていくでしょう。 

 

加えて、前回のコラムでも紹介しているように、最近では安価で使い勝手のよいクラウド・サービスが数多く提供されており、想像よりもずっと手軽にスピーディーに導入できます。 

 

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いまだにどの会社に行っても見かける光景ですが、コピーなどの大型複合機がオフィスの真ん中に鎮座しています。もはや「無用の長物」と思っているのですが、たとえばこの複合機にかかっているリース代くらいの金額をデジタル化に投資すれば、はるかに大きなメリットを得られるはずです。コスト・パフォーマンスだけでなく、最近の言葉を使うならタイパ(タイム・パフォーマンス)がよく、快適で“楽しい”会社へと変わっていけるのです。  

▎思い込み3:「画面越しでは何もわからない」という思い込み 

 テレビや映画を見てきたことで実は鍛えられている 

 

デジタルを駆使している私たちダンクソフトの働き方について、「社員間のコミュニケーションは大丈夫なのか?」といった質問をよく受けます。オンライン越しのコミュニケーションでは、相手のことが何もわからないのではないか、というのです。しかし、こんな懸念も、デジタル・テクノロジーの進展によってどんどん解消されていくと、私は考えています。 

 

これは私の持論なのですが、若い人たちはもちろん、私たちの世代だって、映像に関してはネイティブな感覚を持っていると思っています。というのも、私たちはすでに子どもの頃から、テレビや映画などで画面に映る人々の表情に慣れ親しんでいるわけです。その結果、パソコンやスマホの画面越しに、相手の意図や感情を読み取る能力が自然に養われていると思います。 

 

スマホのテレビ電話にしても、最初はぎこちなかったかもしれません。けれども、慣れてきて、さらには性能がどんどん高まるにしたがって、今ではごく自然に笑顔で会話していますよね。  

▎ノウハウの共有も柔軟な働き方も、“スマート”に解決 

 

では、スマートオフィスによって、会社はどのように変わっていくのでしょうか。 

 

前回のコラムでは、ファースト・ステップとしてペーパーレスから始めれば、会社そのものが変わっていくという話をしました。変わるというのは、会社が未来にふさわしい形になる、という意味ですね。今回は働く人たちにとって、もう少し身近でわかりやすいメリットをあげてみます。 

 

ペーパーレスに象徴されるように、スマートオフィスによって最初に現れる変化は「情報の共有」です。それまであちこちに分散していた紙の資料を、デジタル化してまとめて保管することで、誰もがどこからでも、そして簡単に情報にアクセスできるようになります。 

 

すると、情報ばかりでなく、ノウハウも共有できるようになります。日本企業で見られる悪癖のひとつに業務の属人化があげられます。仕事ができる人ほど情報を独り占めしてしまう傾向があるんですね。これではノウハウや技術も承継されず、若い人たちも育ちません。ペーパーレスによって情報を共有することで、このような課題も解決されていくはずです。  

▎スタッフの意欲を引き出し、人材の定着・採用にも大きく貢献 

 

スマートオフィスは、柔軟な働き方にもつながっていきます。パパさん・ママさん社員からよく聞く悩みに、「子どもが熱を出したり保育園の送迎などで急に早退したい時がある」といったことがあります。最近では親の介護も重なってきます。情報の共有化が進めば、職場のみんなで仕事をフォローし合うことができ、このような状況も解決できます。 

 

さらに仕組みを整えていくことによって、在宅勤務やサテライト・オフィスなども可能になります。よりフレキシブルな働き方を追求することで社員の意欲も向上し、定着率も高まり、それは会社の利益にも必ず反映されるはずです。 

 

私は、どこからでも働くことのできるスマートオフィスの実現は、人材採用という重要な課題の解決にも大きく貢献すると考えています。都心の企業は地方の人材を活用でき、地方の企業は、より広い地域から、多様な人材を採用することができるようになります。 

 

実際、ダンクソフトの社員は全国各地に住んで、リモートで仕事をしています。なかには採用面接もリモートで行い、入社数年後に初めてリアルで顔を合わせたという社員もいるくらいです。  

▎若い人たちの思考や感性を大胆に取り込んでいく 

 

今の若い人たちはデジタル・ネイティブと呼ばれる世代です。最近のオンライン・ゲームでは、ネットで知り合った人たちが仲間となって、チームを組んで進行することがごく当たり前になっています。そんな感覚を仕事に取り入れていけば、働き方も大きく変わっていくと思います。 

 

また社内で情報共有がうまくできるようになると、その情報をベースにしてお互いに学び合おうという姿勢も醸成されます。その学びには、熟練スタッフから若手へという方向ばかりでなく、若い人たちの知識や感覚も活かしていこうとの流れも生まれてくると思います。この「リバース・メンタリング」が起こりやすい環境が大事です。この結果、社内の雰囲気も自然にイキイキと“楽しく”なっていくんですね。 

 

このように若いスタッフたちの考え方や感覚を大胆に取り入れていくことも、スマートオフィスを考えていく上で、とても重要なポイントです。次回のコラムでは、若い人たちのスマートオフィスに対するリアルな声を紹介していきます。 

 


第1回目の『なぜ、今、「スマート・オフィス」なのか? 若い人たちを惹きつける未来のオフィス』はこちらをご覧ください。
https://www.dunksoft.com/message/2024-02 
なぜ今スマート・オフィスなのか?という背景と、最初のステップとなる「ペーパーレス化」についてお話しています。

なぜ、

今、
「スマート・オフィス」なのか? 
若い人たちを惹きつける未来のオフィス

https://www.dunksoft.com/message/2024-02