全国ネットワーキング:若者との対話プロジェクトから 地域課題解決システム が生まれる未来 

株式会社ダンクソフト 
開発チーム チーフエンジニア 
澤口泰丞 


 開発チームが直面した危機 

 ダンクソフトへ入社したのは、2009 年。開発チームの一員となり、お客様の要望に応えるべく、システム開発を担当してきた。振り返ると、この 10 年間で様々なシステム開発にたずさわってきた。 

 ・食品衛生管理システムである「点検くん」 
・会員管理システムである「会員かんり」 
・会員同士のコミュニケーションの場がある「ダンクソフト・バザールバザール」 
・お金の一元管理ができる「未来かんり」 
・お花屋さんの在庫管理、広告代理店の案件管理、など 

 当時、開発チームには平均 6 人ほどが在籍し、連携してシステム開発にあたっていた。 

 

今から 4 年前、パートナー企業に常駐するプロジェクトが立ち上がった。これは、ダンクソフトにとっては新しい試みだった。私はこの担当となり、自社を離れ、お客様先に常駐。新しいメンバーとのプロジェクトが始動した。多忙を極めたが、自分の能力を活かしながら、なんとかこなしていた。 

 

一方そのころ、ダンクソフトでは退職者が続いた。開発チームのメンバーたちが、それぞれ自分の新しい道に向かって歩み出すという。その結果、社内にいる開発チームは、徳島県在住の竹内さん 1 人になってしまったのだ。外部の常駐先から、会社の様子が変わってきたことを感じていた。 

 

竹内さん 1 人では多数のプロジェクトをこなすことが困難なため、私は常駐先からダンクソフトへと戻ることになった。その後は、徳島の竹内さんと東京の私で、サポート業務を対応しながら、お客様への新しい提案を行う日々。しかし、2 人しかいない状況では限界もあり、開発チームは由々しき事態を迎えていた。 

  

顔を合わせて集った、島根県での対話 

 そんな中、ダンクソフトは、島根県でメンタル・ヘルスケアを目的としたワーケーションへ参加しないかと、お誘いを受けた。関東から星野さんと私、徳島県から竹内さん、高知県からパートナーである片岡さんの 4 人で参加することになった。この 4 人は開発チームのプロジェクトで一緒になることが多いメンバーだ。ただ、ダンクソフトは場所にとらわれずに働くことができるため、実際に顔を合わせることは多くない。 4 人が 1 か所にリアルに集うことはめずらしい。 

 

島根では、お互いの顔を見ながら、日々感じていた人手不足への不安をめぐって対話した。提案しているプロジェクトをこのまま進めることができるのか、既存のサポート業務で手一杯ではないのか。すぐに解決できることではなかったが、課題をみんなで共有できたことに安堵したことを覚えている。 

  

若者に、地元にいながらにして“新しい働き方”を 

 この島根県でのワーケーションは、島根県の魅力を肌で感じることもでき、社内コミュニケーションやチーム・ビルディングとしての成果もあったが、少し心残りがあった。 

 

それは現地の人たちとの交流だ。特に、学生など若い世代との交流があったら、自分にとっても地域にとっても、より良い経験になっていたと思う。 

 

この旨、事務局へワーケーションのフィードバックとして伝えたところ、この 2 年後に、学生とダンクソフトが交流する場を設けていただけた。ダンクソフトがどんな企業かを学生たちに伝え、学生たちの関心にも耳を傾け、ともに語りあった。島根県の学生が、島根県にいながら働くことができ、ダンクソフトとしても新しいスタッフが増える可能性があることは喜ばしいことだ。まだ採用まで進んではいないが、これからの動きが楽しみだ。 

 

また、竹内さんは徳島県阿南市にある阿南工業高等専門学校(以下、阿南高専)の非常勤講師としても活躍している。その阿南高専から、卒業生が新卒スタッフとしてダンクソフトに入社することがはじまった。2021 年 4 月に 1 名、2022 年 4 月からも 2 名、開発チームと Webチームに 1 人ずつ参加している。 

 

全国に広がるネットワークで創造する、新しい価値 (未来語り) 

 現在、開発チームは 3 人で業務を行っている。そのうち、2 人は徳島に住んでおり、私は埼玉でひとり離れて仕事をしている。物理的な距離があること、まだメンバーが少ないことで、自分が思ったようには新しいモノや価値をつくりだすことができずにいた。 

 

「もっと新しいメンバーを増やしたい」。 

 

その思いが、新しい動きを生みだすきっかけになった。まず、手始めに、ダンクソフトと縁がある徳島県と島根県の学生を中心にインターンシップを実施する。このインターンシップを通じて、お互いを理解しあえるので、ダンクソフトのビジョンに共感してくれた人がメンバーとして増えていくだろう。地域にも、新しい風が吹くことになる。ダンクソフトにも、多様性の風が吹く。 

 

今日、人口減少という課題を抱える地域は多い。各地でどうしたら地元の若者が残るかを工夫し、人口流出を防ごうとしている。実際に、「地元で働きたいが働く場所がないから県外に出る。働く場所があるのであれば、地元に残りたい」と考えている若者もいるだろう。 

 

ダンクソフトは働く場所に制限はない。地元に残ったまま仕事ができる環境がある。この強みを活かし、徳島県、島根県から始まった「若者との対話プロジェクト」は、全国へと広がっていく。離れていてもオンラインでプロジェクトに参加できるダンクソフトのスマートオフィスが各地にできていき、そこで地元の若者たちが働く機会が得られていくだろう。 

 

そのころ、私は各地に飛び回っている。若いスタッフたちと対話をして、その地域の特産品などの魅力をインターネットに載せて全世界へアピールし、各地域の特産品同士をコラボレーションして新しい価値や経験を創造していきたい。 

 

また、スマートオフィスのネットワークから、新しい「地域課題解決システム」ができあがっていくだろう。各地域の課題を、ネットワーク内で共有し、他地域と連携して解決していく新しいモデルだ。各地のノウハウをデータベースに蓄積していき、いつでも迅速に解決へと導くシステムを構築する。こうすることで、地域格差をなくし、住みやすい環境作りの一助になるだろう。