ダンクソフト発・地球によりよいデジタル推進

ダンクソフトは来月40周年を迎えます。この40年で、社会で企業が求められる役割が、大きく変わってきました。企業は経済一辺倒で事業を拡大すればよいという時代は、もうとっくに終わっています。 

 

6月5日は国連が定めた「世界環境デー」です。これにちなんで、今月は、「地球環境によりよいデジタル」というテーマでお話しします。デジタル企業であるダンクソフトがこれまで取り組んできたこと、そしてこれから私たちに求められることなどが中心です。 



▎2009年。「新しい働き方」を実現したら、「紙」を使わなくなった  

振り返ってみると、ダンクソフトの場合、何か別の課題を解決していたら、結果として環境にもよりよい活動になっていた、ということが多いようです。  

たとえば、「ペーパーレス」の取り組みが、そのひとつです。2009年の段階で、ほぼ社内のペーパーレス化が完了していました。当時、国内的に見ても、かなり先駆的なことだったと思います。  

本格的なテレワーク導入のきっかけとなった社員のインタビュー記事がCHANTO総研のウェブサイトに掲載されています。
https://chanto.jp.net/articles/-/237229 

転換点になったのは、育休中のスタッフから相談を受けたことでした。「子どもを保育園に入れられなかったから、復職できない」というのです。そのとき私は、であれば、オンラインで勤務してみたらどうだろうと提案したんですね。以前からテレワークの試みは始めていましたが、完全にリモートのみで働くことは未経験でした。そこから、保育園問題を解消するため、お母さんが自宅を離れずに育児をしながら遠隔で働き続ける工夫を導入していきました。情報共有をさらにスムーズにしようと、クラウド化も加速させました。  

育休スタッフの切実な声を聞き、実際に働ける方法を探っていたら、結果的にデジタル化が進み、紙を減らすことにもつながり、今でいう新しい働き方を先取りしていました。  

▎複合機のないスマートオフィスへ 

こういうわけで、当時から、業務のなかで、紙を使うことはほとんどありませんでした。さらにスタッフは1つのPCに2つのモニターをつなげて使う“ダブルモニター”にすることで、作業のために紙を出力する必要がなくなりました。会議では、大型モニターを利用し、資料や議事録を表示します。紙の資料を会議のために印刷したり、議事録を印刷して配布したり、といった手間や無駄がなくなります。情報共有と情報開示を進めた結果、環境にもよりよい「ペーパーレス」なオフィスになりました。 

 

デジタル化されたダンクソフト本社オフィス

2023年のいま、神田の本社オフィスには、ファクシミリ(FAX)はもちろん、コピー機もプリンターもありません。ダンクソフトはオフィス移転を比較的多く行ってきたのですが、そのたびにスリム化、つまりデジタル化を重ねてきました。脱アナログ化したこのオフィスは、「スマートオフィス」のショーケースです。従来のオフィスにあったような備品がない代わりに、良質なスピーカーや大型ディスプレイなどテレワーク環境が整っています。オフィスに来てくださった方には「こんなオフィスは見たことない」とよく驚かれます。 

 

■『スマートオフィス構想を実践する新拠点』
https://www.dunksoft.com/message/2021-03 

■『理想的で機能するテレワーク環境づくり:発想転換のポイント』
https://www.dunksoft.com/message/2021-05 

▎“エコ・ペーパーレス”の推進で、環境保全とコスト削減を両立 

デジタル・ツールを使うと、紙の使用量はもちろん減ります。ということは、それにあわせて文房具への支出も減ります。さらには、オフィス内に書類を管理する場所もいらなくなります。コピー機を置かなくなれば、年間で数百万円単位のコスト削減が可能です。そのうえ、わざわざ書類を事務所に取りに行くという面倒からも解放されます。経済と環境保全を両立させる取り組みを、ダンクソフトでは“エコ・ペーパーレス”と呼び、推進していました。 

 

ペーパーレス化に取り組んだ当時の、徳島合同証券様の取材動画

デジタルの推進によるエコ・ペーパーレス化は、これまでたくさんのお客様とともに取り組んできました。たとえば徳島合同証券様は、社内に眠っていた3.5トンもの書類を捨てることに成功しました。社員それぞれが管理していた個人情報をデジタルに一元化することで、コピー機やFAXを利用する頻度も激減しました。結果的に700万円ものコストが削減されました。もともと環境への意識が高い泊健一社長でしたが、その後もSDGsを推進する企業として、徳島の要になっていらっしゃるようです。ちょうどカーボン・オフセットの発想が注目されていた頃でした。 

 

■ 事例:「ペーパーレス化」で 6期連続の赤字からV字回復 
https://www.dunksoft.com/message/2019/7/22/-6v 

 ■ 泊健一社長からのダンクソフトへのコメント 
https://www.dunksoft.com/work-style  

▎森林保全NPOが、デジタル化を推進:「森での時間が増えた」 

NPO法人 樹木・環境ネットワーク協会様のケースも、思い出されます。ちょうどコロナ禍がはじまる直前でした。テレワークの仕組みを導入する支援をしました。 

 

ダンクソフト社員がテレワーク勤務体験談を共有している様子

こちらの協会は、森や里山の保全活動や、そのための人材育成を活動の主軸にしています。テレワーク補助金を使って、事務所の外からでもデータにアクセスし、どこからでも活動ができるように設定を行いました。 

 

デジタル導入により、ひとつは、広報担当の方が、介護と仕事を両立できるようになりました。また、「事務仕事のために、森に行く時間が減ってしまう」という事務局長さんの悩みが、業務が効率化されたことによって解消されました。デジタル導入で、離職も防ぎ、「森林保全」という本業に、さらに時間と力をかけられる環境をつくられたわけです。 

 

■ 事例:テレワークで実現したNPOの働き方改革と拡がる可能性 
https://www.dunksoft.com/message/case-telework-npo-shu  

▎ダンクソフトがかかわることで、環境保全が広がる 

NPO法人 樹木・環境ネットワーク協会様は、「人と自然が調和する持続可能な社会」を目指して、森づくりをはじめとしたさまざまな活動を行っています。ダンクソフトがデジタル化を支援することで、間接的に、環境保全に協力できたことになると考えています。 

 

NPO法人 大田・花とみどりのまちづくり様の活動の様子。駅前の花壇整備。

他にも、NPO法人 大田・花とみどりのまちづくり様のご支援では、より使いやすいボランティア管理システムをkintoneで実現しました。事務局もボランティアも、手作業で行っていた集計業務をデジタル化し、本来リソースを使うべき緑化のために、もっと力をかけられるようになりました。そして、さらに新しい領域や課題に取り組もうという気持ちにもなっていただくことができました。担当したダンクソフトのスタッフも、現場に足を運んで様子を拝見することができ、大田区の緑化に貢献できたと喜んでいました。 

 

■ 事例:作業効率化を機に、デジタル化でプロセスを見直し、誰もが関われる団体運営へ 
https://www.dunksoft.com/message/case-hanamidori-kintone  

 

▎ダイアログ・スペースから、森づくりを考える 

このように、環境問題に取り組む団体を支援することで、私たちダンクソフトの自然環境への意識もよりいっそう高められています。 

 

NPO法人森づくりフォーラム様とも、樹木・環境ネットワーク協会様を介して出会いました。3年前から、ダンクソフトのオフィス内にある「ダイアログ・スペース」を使って、ハイブリッド型の全国大会を開催するご支援をしています。コロナ前には、年に1度、リアルに集って大きなイベントを行っていたところが、コロナで一変。オンラインで上手に配信する方法と場所を提供し、新しい形の全国大会実施にこぎつけました。 

 

今年も、6月10日(土)と11日(日)の2日間にわたって、「第27回 森林と市民を結ぶ全国の集い2023」が開催されます。1日目はオンライン配信と国立オリンピック記念青少年総合センター現地会場とのハイブリッドで実施。2日目はオンライン配信で開催します。 

「続・森は誰のもの? ~森林コモンズを活かす明日へ~ 第27回 森林と市民を結ぶ全国の集い2023」 
https://moridukuri.jp/forumnews/forest2023_commons 

開催期間: 2023年6月10日(土)・11日(日) 

 

2日目の11日は、ダンクソフトの「ダイアログ・スペース」から、全国へ配信します。今年のテーマは「続・森は誰のもの?〜森林コモンズを活かす明日へ〜」です。どんな話が聞けるのか、私も楽しみにしています。 

  

ダンクソフトの「ダイアログスペース」

ダンクソフトの「ダイアログ・スペース」は、約1Gbpsの超高速光通信や、マイクやカメラ、モニター、高品質スピーカーを備えています。このオンライン・フォーラムもリアル感のあるセッションを楽しんでもらえるでしょう。「全国の集い」はどなたでもお越しいただけますので、ぜひご参加いただければと思います。 

 

ダンクソフトでは、このような「開かれた対話と創造の場づくり」を、さまざまなパートナーと一緒に行っていきたいと考えています。オフィスのダイアログ・スペースを利用してハイブリッド型イベントを実施することにご関心のある方は、ぜひお声がけください。(お問い合わせはこちらから) 

▎ウェブ・カメラで見守る「神田藍」の鉢植え 

オフィスといえば、オフィスのベランダでは、ここのところ、「藍」を育てています。 

 

ダンクソフトのオフィスは神田駅前にあります。神田はかつて、染物屋の集まる日本有数の「紺屋町」でした。そこで、この地域で暮らす人や働く人たちが「藍」を媒介にコミュニティをつくろうと、「神田藍プロジェクト」が始まりました。今年で3年目になる取り組みで、ダンクソフトも参加しています。5月には、千代田区のまちづくりサポート報告会にて、活動に対して「サポート大賞」を受賞しました。 

 

ダンクソフトオフィスのベランダで育てている藍

私にとっていちばん身近な自然は、ここにあります。藍を育てるのも、もう3年になりました。毎日水やりをしなくてはいけないことも、雨の日は水やりをしなくていいから嬉しいことも、今では私自身の日常です。これまで植物を育てたことはなかったのですが、育て方も少しずつ進化してきました。藍の様子を遠隔で24時間見られる「見守りカメラ」を設置したり、藍が自動で水を吸い上げる装置を入れたりするなど、藍が育つ環境もデジタルで整えてきました。 

 

■ 事例:神田藍プロジェクト 〜ソーシャル・キャピタルを育む藍とデジタル
https://www.dunksoft.com/message/case-kanda-ai 

■ WeARee!で見る神田藍プロジェクト 
https://yushin.wearee.jp/kanda-ai/content/4872?resp=1726

  

▎5G構想でインターネットが行き渡った日本中の森で、できること 

インターネット回線とカメラをつないで、植物を遠隔で見守る。私がオフィスの鉢植えに活用しているこの仕組みは、森林管理に応用できるものだと考えています。見守りカメラを設置して、それがインターネット回線につながってさえいれば、現地に行かずとも森林の状況を把握することができます。ダンクソフトで使っているSwitchBot社製のカメラは、太陽光エネルギーを使えるので、電源に配線しなくとも連続使用ができます。 

 

いま、日本では5G構想が実現しつつあります。これは、現在使われている第4世代(4G)の100倍以上高速な通信網を、離島や山間部を含む日本全域に張りめぐらせるという計画です。10Kmメッシュでカバーしていく計画なので、近いうちにどんな地域にもインターネットが行き渡るようになるでしょう。デジタル環境は飛躍的に進化しています。 

 

都市部ではインターネットがおおむね浸透してきました。あとは山間部や森林です。そこが整えば、どこにいても森林保全の活動ができ、これまで人が入りにくかった奥地まで目が行き届くようになります。ロボットなどとも協働すれば、人が介在しなくてもできることが、めざましく増えていくはずです。 

 

「森林保全」というと、自然を「人間や機械が関わらないもの」ととらえがちです。自然と人間、自然と機械を、対立構造で考える人も少なくありません。ですが、人間もまた自然の一部です。その人間がつくった機械もまた、自然と関わりを持つ重要な一部と考えたほうが、無理がないと思っています。 

 

日本はこれから人口が減っていきます。人口8000万人になったとき、働ける人口もずいぶんと減っているでしょう。そのような時代にこそ、デジタルとインターネットが活躍します。一次産業や二次産業にデジタルを導入し、関わる人を増やす。今後のテーマになっていくでしょう。 

  

▎スタッフ一人ひとりが、未来の地球環境を考えている、そんな会社に  

私自身は、一時、OECDが公開していたBLI(Better Life Index)の指標を意識して見ていたことがありました。Better Life Index(「より良い暮らし指標」)は、2011年に公開されたもので、住宅、収入、雇用、共同体、教育、環境、ガバナンス、医療、生活満足度、安全、仕事と生活の両立という11の分野で比較する、豊かさの指標です。 

 

今は、SDGsが企業にとっても考えるべき必須事項となっています。40年前にはもっぱら金銭的価値の追求が企業に求められていたことに対して、今は、社会的価値や環境価値が同時に求められるようになりました。時代が大きく変わっているのです。 

 

企業に地球環境保全の努力が求められるようになるのであれば、スタッフ一人ひとりに求められることも、当然変わっていくことになります。ダンクソフトでは、スタッフ一人ひとりが環境意識、社会意識を持てるように、評価制度を見直そうとしています。メンバーが未来の地球環境を考えている、そんな会社になっていきたいと考えています。 

 

そのためには、「業務」内容への評価以外にも、「未来」を切り拓く人になるために学び、考え、行動できているかという観点も、大事にしていく予定です。40周年を機に、「人として、よりよくなっていく」方向を目指したいと思っています。