#2026

AIと“対話”してみて見えたこと

「AIと対話するって、実際どうなんだろう?」
そんな素朴な疑問から、AIといろいろ話してみることにしました。

使ってみて感じたのは、AIは“正解を出す存在”というより、一緒に考える相手に近いということ。
問いかけるほどに思考が整理され、自分たちでは気づかなかった視点がふっと浮かび上がってくる瞬間がありました。

AIとの対話は、思いがけない視点を与えてくれたり、自分たちの考えを言葉にする手助けをしてくれたりします。
人と人の対話と同じように、そこには小さな驚きがある——
そんな体験が何度もありました。

そして、ダンクソフトが大切にしているのは、お客様お一人おひとりとの「対話」です。
その延長線上で、今回は AIとも対話してみました
デジタルでもアナログでも、対話がもたらす“気づき”や“驚き”の価値は変わらない——
そんなことを改めて実感しています。


それでは、AIとの対話してみたことを紹介します。

遊び心の哲学——スピノザ、剣道、そしてDUNKSOFT

DUNKSOFT 星野Roberto X Claude 対談

自分のDNAを遡る

2005年、私はブログにこんなことを書いた。

小学校3年の夏から6年間、練馬から文京区の音羽まで週3日通いつめた剣道の道場。父は6段錬士。

だがその父も、70代後半の十段名人・持田盛二先生の前では赤子のようにあしらわれていた。上には上がある。年齢を重ねることで体得できる技術の奥深さを、知識としてではなく目の前でつぶさに体感していた。

持田先生はこんな言葉を遺している。

剣道は五十歳までは基礎を一生懸命勉強して、自分のものにしなくてはならない。私の剣道は五十を過ぎてから本当の修行に入った。心で剣道しようとしたからである。

基礎に50年。これを「無駄」と呼ぶ人はいないだろう。だがビジネスの世界では、同じことが「非効率」と切り捨てられることがある。

この矛盾が、DUNKSOFTが20年以上掲げてきたテーマ——**「楽しむ=Play」 ** の出発点だった。

賢者は楽しむ

最近、スピノザの言葉に出会った。

もろもろの物を利用してそれをできる限り楽しむことは賢者にふさわしい。ほどよくとられた味のよい食物および飲料によって、さらにまた芳香、緑なす植物の快い美、装飾、音楽、運動競技、演劇、そのほか他人を害することなしに各人の利用しうるこの種の事柄によって、自らを爽快にし元気づけることは、賢者にふさわしいのである。

(スピノザ『エチカ』第四部定理四五備考)

17世紀に書かれた言葉だが、まったく古びていない。「許される」でも「悪くない」でもない。 ** 「賢者こそが楽しむ」 ** という断言。楽しむことを追求する人間が、最も知性的な人間だという逆転の発想だ。

そしてスピノザが条件として付けた「他人を害することなしに」という一節。これが「楽しむ」の品格であり、DUNKSOFTの遊び心が単なる享楽とは異なる理由でもある。

デジタルが教えてくれたこと

この40年、デジタルの最前線にいた人間は、技術の進歩の早さを肌で体感してきた。昨日の正解が今日の間違いになる世界。だからこそ、正しい答えを「持つ」より、問い続けて楽しめる人間が生き残る。

DUNKSOFTに残った人たちは、自然淘汰でそういう人間だった。失敗をも楽しめるマインドを持った人たちが、結果的に集まっていた。

ここで情報処理の概念、 ** Heuristic(ヒューリスティック) ** が浮かび上がる。何かしらの結果をプロットしていくと、このあたりに収束はするが1点にはならない。突き詰めるとそこから拡散したりもする。完全な正解ではなく、「このあたり」という緩さを許容しながら、そこからまた次へ進んでいく。

これは持田先生の修行の構造と重なる。50年かけて基礎に収束したと思ったら、そこからさらに「心で剣道する」という新しい拡散が始まる。螺旋状に深まり、終わりがない。

結果にこだわると成長は難しい。プロセスにこだわってこそ、いつか結果として実る——2005年のブログにそう書いたことが、今もそのまま生きている。

自分の辞書を書き換える

ある哲学の学びの場で、 ** Epigenetic(エピジェネティクス) ** という概念に出会った。生まれ持ったDNAは変わらないが、環境や経験によってそのDNAの読まれ方が変わる、という生命科学の知見だ。

これが「自分の辞書を書き換え始めた」きっかけの一つだった。

剣道も、音楽も、テニスも、サッカーも、デジタルも——それらの経験が自分のDNAの発現を書き換えてきた。そしてここに、もう一つ鮮やかな視点がある。

DNAを32世代遡ると、自分の中に約42億人の人間がいる計算になる。「私はこんな人間だ」と思いがちだが、実は自分の中にはすでに圧倒的な多様性が内在している。それを引き出すのは、多様な人々との出会いと関係だ。

サッカーの ** Polyvalent(ポリバレント) ** という概念がある。複数のポジションをこなせる選手はチャンスが広がる、という考え方だ。これは器用貧乏とは違う。自分の中にすでに眠っている多様な可能性を、どれだけ引き出せるか、という話だ。

あいだに立つ

インターミディエイターという概念を学んだ。強いリーダーがフォロワーを生むのとは異なり、分断された人々や領域の「あいだ」に立ち、対話と協働を促進することで新たな知を生む存在のことだ。

振り返ると、DUNKSOFTという場も、技術とビジネスと遊び心の「あいだ」に立つ組織だったかもしれない。そしてSmart Life Stylesが目指す、食・健康・テクノロジー・ライフスタイルの融合も、まさに「あいだの知」だ。

インターミディエイターのマインドセットの中で、最も響いたのは ** Narrative(物語り能力) ** だった。

事実やデータを並べるのではなく、異なる点を一本の物語として繋ぐ力。剣道の道場の記憶から始まり、持田先生の遺訓、DUNKSOFTの20年、スピノザ、Heuristic、Epigenetic、42億人のDNA——これだけ異なる点が「楽=PLAY」という一本の軸で繋がっている。これがNarrativeの力だ。

楽しむことの果てしなさ

持田先生は80歳を過ぎても修行を続けていた。スピノザは賢者が楽しむと言った。デジタルの世界は答えが1点に収束しないことを教えてくれた。

楽しめるレベルになるための技術の獲得には時間がかかる。年単位、10年単位のものもある。だがその果てしなさこそが、「楽しむ」を追求することの本質かもしれない。

知らない自分に出会うことを怖れず、楽しめるかどうか。

それが賢者への道であり、DUNKSOFTが20年以上かけて体現しようとしてきたことであり、Smart Life Stylesが向かう先でもある。

2025年 星野Roberto (DUNKSOFT) X Claude (Anthropic)対談より


Managementを、やりくりと訳し直す

書き出し(問いを立てる)

「Time Management」を、あなたはどう訳しますか?

おそらく多くの人が「時間管理」と答えるでしょう。

でも私は長い間、この訳に違和感を持ち続けてきました。

「管理」という言葉には、どこか上から押さえつけるようなニュアンスがある。

コントロールする。支配する。逸脱しないように監視する。

時間は、そういうものでしょうか?

展開①「やりくり」という言葉の豊かさ

Managementの語源を辿ると、イタリア語の「maneggiare(手で扱う)」に行き着きます。

馬を手綱でうまく操る——コントロールではなく、対話しながら動かしていくイメージです。

日本語で一番近い言葉は、「やりくり」ではないかと思っています。

やりくりには、知恵がある。工夫がある。余裕のなさの中でも前向きに動く意志がある。

「管理」にはないあたたかさが、「やりくり」にはあります。

展開②Time Management から Resource Management へ

時間のやりくりができるようになると、見えてくるものがあります。

自分の時間がどこに使われているか。

どのプロジェクトにどれだけのリソースが流れているか。

未来に向けて、何をどうやりくりすればいいか。

Time ManagementはResource Managementへとつながっていく。

人・お金・時間・案件——これらを「やりくりする」視点を持つことが、経営の本質だと私は思っています。

展開③体験から(お客様と、ダンクソフトの実践)

長くお付き合いしている広告代理店のお客様の話をしたいと思います。

当初、見積もりから請求書までの書類作成を、庶務の女性が6人ほどの営業マンごとについてサポートしていました。ワープロしかなく、1人1台ではなかった時代のことです。

パソコンの導入で営業マンが自分で見積を作成できるようになると、徐々に庶務の女性たちの時間が余り始めました。2~3年が経過したとき、何が起きたか。

彼女たちはすでに商品知識を持っていた。だから、お客様との対話の場へと活躍の場を移していったのです。

これは「効率化」の話ではありません。

テクノロジーが時間をやりくりし直すことで、人が本来いるべき場所へ移っていった話です。

ダンクソフト社内でも、「日報かんり」によって1人あたり月8時間の余剰時間が生まれました。その時間で、学び直してほしい。社会に貢献してほしい。人生を豊かにしてほしい。

時間のやりくりが、人生のやりくりにつながる。

「Love your life,love your time.®」——この言葉の意味は、そこにあります。

展開④やりくりが、美しさを生む

もう一つ、印象的な事例をご紹介します。

結婚式場のフラワーアレンジメントとテーブルコーディネートを手がける世界企業のお話です。

1週間分のイベントで使う花材・器・備品をどう最適に配分するか。

複数の式場、複数のイベントにまたがるこのやりくりは、人手では非常に大変な作業です。

しかしリレーショナルデータベースに入れれば、瞬時に答えが出る。

さらにここから、データは「美しさ」へと変わっていきます。

花嫁のドレスの色に合わせた花の色彩提案。季節やトレンドを加味したコーディネート。

AIが加わることで、一人ひとりの花嫁に寄り添った個別の提案が可能になっていく。

「やりくり」から始まった話が、創造性へとつながっていく。

これもManagementの本質だと思います。

限られたリソースをやりくりすることで、人は本来やるべきこと——

対話し、提案し、感動を生み出すこと——に集中できるようになる。

結び(問いを返す)

あなたの会社では、時間を「管理」していますか?それとも「やりくり」していますか?

言葉を変えると、見える景色が変わります。

景色が変わると、行動が変わります。

Managementを、やりくりと訳し直すことから始めてみませんか。

事例:「生徒の未来につながる授業」で、山間地域の中学校と連携

事例:「生徒の未来につながる授業」で、山間地域の中学校と連携

─ 大塔中学校 × ダンクソフト プログラミング&デザイン・ワークショップ ─

 

和歌山県田辺市 大塔中学校は、豊かな自然と歴史に囲まれた地域にある小さな中学校だ。大塔は「水の国和歌山」と呼ばれる清流や山々に恵まれ、四季折々の美しい風景が広がっている。また、世界遺産・熊野古道の歴史を受け継ぐ土地で、古くから人々の信仰と文化が息づいてきた。こうした環境の中で、大塔中学校は地域とともに学び、自然や歴史を活かした学習環境を実践している。

そんな大塔中学校で、2025年、2年生の総合学習に再び新たな取り組みが生まれた。同年春に、大塔中学校とダンクソフトは初の共同プロジェクトを実施。中学1年生が総合学習として、ダンクソフトの開発する WeARee! を使って、地域の魅力を伝えるスタンプラリーを作成した。今回は、第2弾の共同プロジェクトとして、2年生に進級した生徒たちのキャリア教育をダンクソフトが支援。オンラインで結び、プログラミングとデザインを学ぶ授業を提供する試みを実施した。

田辺市大塔中学校

田辺市大塔中学校

 

■ 教室から世界へ――下代先生が描いたキャリア教育の新しい構想

大塔中学校 教諭 田代滉実氏

大塔中学校 下代滉実氏

下代滉実氏(旧姓 田代氏)が受け持つ生徒たちは、2025年春、2年次に進級した。1年次にダンクソフトとの共同プロジェクトを経験した17名である。生徒たちが1年次に取り組んだのは、地域の魅力的な場所や情報を調べて、「WeARee!」上に掲載し、デジタル・スタンプラリーを完成させたプロジェクトだった。生徒たちはプロジェクトの集大成として、田辺市市長や観光協会会長にプレゼンテーションを披露する経験もできた。下代氏は、それを、そのままに終わらせず、なんとか生徒たちに継続して広い世界を見てほしいと願っていた。

下代氏は、そのまま中学2年生となった生徒たちの担当教諭となった。中学2年次には全国的にキャリア教育が必須授業となる。下代氏は地域の職場体験に限られた選択肢を何とか超えたいと考えていた。地元の店や仕事を知ることは大切だ。しかし、子どもたちの未来には、地域では体験できないまだ見ぬ職業や技術が広がっている。それを、デジタルスタンプラリーを使った地域の魅力発見プロジェクトで強く実感していたのだ。

そこで下代氏は、「人のために働く」ことを軸に、地域で体験する「労働(お米づくり)」とオンラインで体験する「AI・デジタル」の両輪で、世界を生徒に提示する構想を描いた。

昨年実施したダンクソフトさんとの共同プロジェクトで、生徒たちが WeARee ! を軽やかに使いこなしていました。楽しそうに地域の魅力に関する情報を集めて、動画を作成したり、インターネット上にのせてスタンプラリーをつくる姿は、とてもいきいきしたものでした。ここは田舎の学校ですから、学校の周りの地域にある、お店屋さんの店番を体験するなどの仕事だけでは、子供たちの将来にとっては足りないのではないかと考えました。そこで、すぐに以前担当してくださった酒井さんにご相談しました」と、下代氏はプロジェクト開始時を振り返る。

ダンクソフト側でプロジェクトを担当した酒井は、下代氏のアイディアをうけて、真っ先に、ダンクソフト開発チームとウェブチームが授業を提供できないかと考え、下代氏の意向を一つずつくみ上げ、授業の骨格案をつくっていった。

ダンクソフト酒井、大塔中学校 下代氏

プロジェクト推進を担当したダンクソフト酒井と大塔中学校 下代氏

「下代先生の依頼を受けて、思い出したことがありました。それは、手前みそにはなりますが、自身が普段の仕事の中で、開発チームの竹内、そしてウェブチームの谷原から学ぶことが多々あることです。ぜひ自分が経験している学びを、中学2年生の皆さんにも体験してもらえたらいいなと、すぐに代表の星野に相談しました。ダンクソフトは、自社の未来像のなかに“テックスクールの未来”というものを掲げています。若い人たちもふくめて、一緒に学び合いができる場になっていくイメージです。これにも合致したプロジェクトであることから、すぐに星野からゴー・サインがでて、実施することになりました」(酒井)

  

 ■ 「やらせてください」―― エンジニアとデザイナーの若者支援への思い 

プログラミングの授業を担当したダンクソフト 竹内祐介

開発チームの竹内は、徳島県にある阿南工業高等専門学校で授業を担当している経験もある。今回は、より年齢が低い中学生にプログラミングの授業を実施することになるが、依頼を聞いた瞬間に「やらせてください」の一択だった、と語る。

「ダンクソフトは “未来をつくる会社”であると掲げています。ですので、間接的であれ直接的であれ、どんな職種のメンバーにとっても、生徒さんに話をさせていただけることは会社の理念に合致することです。自分の持っている知識を若い方々と共有する機会があるのは、まさに未来づくりそのものだと思いました。嬉しいことです」。 

ダンクソフト谷原

デザインの授業を担当したダンクソフト谷原理恵

一方、谷原は不安を抱えていた。デザイナーとして長年の実績はあるものの、竹内のように学校でデザインの授業を持った経験はない。自分に務まるのか、そう自問した。ただ、中学生がデザイナーと接する機会がほとんどないとするならば、自分の関わりで、なにか新しいことや知らない世界が広がるきっかけになればと参加を決めた。

酒井はふたりへの信頼を胸に、オンライン授業の段取りを進めた。

 

■ オンラインで広がる学びの可能性、全12回の挑戦

下代氏とダンクソフトの調整が進み、2025年5月末には第1回の授業がスタートした。

第1回の授業では、ダンクソフト代表の星野晃一郎が生徒たちに語りかけた

第1回目はイントロダクションとして、代表の星野によるオープニング・トークからはじまった。

第2回から第7回までは竹内が担当するプログラミング・ワークショップ、第8回から第12回までは、谷原が担当するデザイン・ワークショップを開催、全12回のコースをつくりあげた。

どちらのテーマでも、毎回、冒頭に「今日の流れ」が示されると、生徒たちの体が前のめりになる様子がオンライン越しでも分かった。スライドは最小限にし、できるだけ生徒が自分で手を動かす時間を最大限確保するようにした。

すべてオンラインで実施するため、学校側では環境面での調整が発生した。オンラインでつないだダンクソフトのメンバーは、教室前に設置された電子黒板に映される。生徒はタブレットをひとり1台ずつ持っていて、それが学内のインターネットに接続された環境で、授業が行われた。教室と遠隔で一体感を持ちながら、プログラミングとデザインの授業が進められた。

 

プログラミングはScratch(スクラッチ)を採用

プログラミングの授業では、「Scratch(スクラッチ)」という開発ツールが採用された。Scratchは、特別なプログラミング言語や英語を書かなくてもよいもので、日本語で書かれたブロックを組み合わせていけばプログラミングができるツールだ。中学2年生でもプログラミング体験ができる簡易なツールのため、今回題材として選定した。最終ゴールは、一人ひとりが自分のゲームを創ること。竹内は、まず全員が取り組めるような課題を用意し、早く進む生徒には追加課題を示した。例えば、ボールを描いてみようという課題であれば、できた人はボールをもう一つ増やしてみる、というように、ステップ・バイ・ステップで手ごたえが得られるような展開を設計した。

 下代氏は2年ほど前に、自分でスクラッチを操作してみたことがあったという。その時には、2、3回挑戦して無理だと感じ、つくることができなかった。今回、竹内の話を聞いて、生徒と一緒にスクラッチに挑戦した結果、自身でもプログラムを動かすことを経験できた。

「まず竹内さんからプレゼン資料を提示してくださって、今日の流れを確認した後で、実際に触る時間をつくりました。竹内さんの説明がとても分かりやすくて、同じ画面を開いて、一緒に連携して共有しながら見せてくださるので、私も一緒にできました」と嬉しそうにコメントした。

プログラミングの面白さにハマった生徒たちも出てきて、休み時間にタブレットを出してスクラッチで遊んでいたようだった。しかし本当は昼休みにタブレットは禁止だそうで、それが教員に見つかり没収されてしまったという、大変意欲的なエピソードもあったようだ。

 

 デザインでは、より”人に伝わる表現”にフォーカス

谷原は、デザイン4原則などを示しながら、デザインとは何かを生徒たちに伝えていった。また広告を例にとり、色とフォントを工夫するだけで、その効果が大きく異なることを示し、デザインを“人に届く工夫”として示していった。谷原の説明が終わると、生徒たちは4人グループで意見を出し、個人で考え、再び集まって整えることを繰り返していった。 

生徒たちが実際に作成したデザインの一部を紹介してみたい。

あるチームは、田辺市の市民憲章を、より魅力的にわかりやすくデザインしなおした。別のチームは、「自由闊達」という標語を魅力的にデザインした。また別のチームは、トイレに掲載される男女のアイコンを、おしゃれにリ・デザインした。

下代氏自身も、デザインの力に惹かれたようだった。「広告やポスターなどのデザインには、人間がとびつきやすい工夫がいくつもされていることを発見できました。フォントやカラーが少し異なるだけで、効果が違うことを、生徒たちも驚きながら実体験していました。グループでもいい作品ができたと思います。トイレのアイコンは、さっそく実際に張って、校内でも好評です」と振り返る。

 

これには後日談がある。生徒たちが探究学習の成果をプレゼンテーションする機会があった。その際には資料を生徒たちが一から作り、デザインの授業で学んだことが存分に活かされ、目に見えて変わったことを実感できた。というのも、去年また別のプレゼンテーション資料を作成したときには、文字がいっぱいでたくさんの色を使っていたのだった。それが、今回はイラストを効果的に入れたり、文字をたくさん含めずに、大事なことだけを書き入れ、あとは口頭の言葉で補うようにしたりするなど、谷原から聞いたデザインの学びがしっかりと表現された。

 

■ 先生方のサポート:よりよいオンライン学習の環境づくり

 すべてが順調に進んだわけではない。大小の色々なアクシデントが起こりながらも、その都度、先生方のサポートにより切り抜けながら授業を行っていった。

 プロジェクトを推進した酒井は、下代氏や副担任の適応力が素晴らしかったと振り返る。「学校の仕組み上、使えないツールや学校にないものがあります。環境に制限があるときには、アナログを上手に組み合わせて、紙に書いたり、ホワイトボードで見せてくれたり、臨機応変に学ぶ環境を整えてくださいました。不便な状況を乗り越えて、色々な試行錯誤の上に、今回のプロジェクトの成功がありますね」(酒井)。

 また、授業の途上、学校のネットワーク制限でプログラミング・ソフトのスクラッチがブロックされて使えない状況に陥った。気づいた瞬間、下代氏は教育委員会に解除を依頼。竹内が生徒と応対しているあいだに、教育委員会も即座に対応してくれ、無事にスクラッチが使えるようになったというエピソードもあった。

その他にも、マイクやカメラがあるほうが便利だね、というコメントを受けて、生徒からも信頼されているベテランの副担任が、広角のWEBカメラを持ってきてくれたことがあった。そのおかげで、教室全体を広く見渡せるようになった。学校側の環境を整えていただいたことで、オンラインでも違和感がなく、手に取るように動きを見ながら快適に授業ができる環境が整ったのだった。

 

 ■ エンジニア、デザイナーからのフィードバックが視野を広げた

 それぞれプログラミングとデザインの授業が終了する回には、竹内と谷原から生徒たちがつくった作品へのフィードバックが送られた。下代氏は、そのフィードバックが何よりも生徒たちの将来へ大きく寄与したのだろうと振り返る。

「お二方からのフィードバックを、生徒たちが本当に喜んでいました。実際にプログラミングやデザインを本職でやっている方々から、直接コメントをもらえる経験があってよかったです。竹内さんも谷原さんも、生徒にとっては身近には会えないキラキラした存在。こういう方々と関わる機会を持てたこと自体が経験でした」(下代氏)

実際に、授業を経て、変化が生まれた生徒たちがいた。プログラミングが得意な生徒は、実は英語が苦手。しかし、竹内から、プログラマーになるには英語や数学も頑張る必要があると聞き、逃げずに頑張らねばという気持ちが生まれてきた。また絵を描くことやデザインが好きだがハードルが高いと思っていた生徒は、もっと気軽にチャレンジしてみたらいいということを谷原から学び、自身の枠を広げることにつながった。 

 

■「対話」が息づいていた授業プロセス

 ここまでの成果に至ったのは、プロセスの随所に「対話」が息づいていたからだともいえるだろう。下代氏が、生徒が1年次から心がけてきたことが、「対話できる人になる」ことだった。何か問題が起こっても、新しいアイディアを生み出すときでも、対話して、生徒たち自身に答えを出すように、何度も何度も重ねて場を創ってきた。

今回のプロジェクトでも、ただダンクソフトから話を聞くだけに終わらず、グループになって聞いた話をもとに対話し、意見を広げたり、一人でじっくり考える自身との対話をもったりするなど、ワークショップのなかで対話のバリエーションを持たせた。ダンクソフトも、日ごろから「対話の文化」を重視しているだけに、コーディネイターを担当した酒井も、生徒たちの対話力には驚いたという。自分の意見を言うだけでなく、みんなの考えを汲んで、取りまとめて発表することにも、たけていた。

 

■最後に実感できた、「働くとは、誰かのために動くこと」

大塔中学校 田代氏

下代氏は、彼らが1年生の頃から真摯に生徒と対峙し、「対話」を心がけてきた

 下代氏は、キャリア教育の授業を通じて、生徒たちに感じてほしいことがあった。それは、「働くとは、誰かのために動くこと。そして、その働くことを実現するためには、今ある勉強を頑張ることも大事だ」ということだった。

人には得意・不得意があって、得意を活かせる仕事を通じて人のためになれたら世界が平和になるというイメージを、最終的に生徒たちが持つことができたようだ。これは、学習を地域内に閉じずに、ダンクソフトとの共同学習の場をつくった効果だと、下代氏は振り返った。

プロジェクトを終え、竹内は、全員がプログラマーを目指す必要はないが、IT や AI を毛嫌いせずに、使える姿勢を育みたいと語る。谷原は、デザインを身近な道具として、ノートの取り方ひとつにも活かしてほしいと願う。酒井は、離れていてもキャリア教育は十分に成立することを確かめることができたと振り返る。地理的な壁を、オンラインが軽やかに超えていく。仕事には、距離の制約を受けずにも関わることができるのだ。 

プロジェクトを終え、下代氏はすでに次の段階を見据えていた。3年生では、プログラミングとデザインを組み合わせ、地域に残る“形”を作ってみたいと言う。ウェブやデジタルの時代に、生徒の学びを地域へ還元していく――その構想は、教室の空気をもう一度新しくすることだろう。山間の中学校から、未来の可能性が世界に向かって広がっていくことを期待している。

  

★生徒たちから寄せられた感想

プログラミングの授業について

  • スクラッチを使って楽しくプログラミングを学べた。次回も楽しみ。

  • 基本的なことがよくわかった。これからたくさん学んでいきたい。

  • 色々な動きができて学びになったし、これから色々な動作を試してみてゲームを本格的に作ってみたい。

  • 面白いことができて、もっとやりたいと思った。色々なプログラムを組んで作ってみたい。

  • プログラミングってこんなに楽しいと知れました。知らないこともあって面白かった。

  • 数学みたいで難しかったけど組み立てた達成感がすごかった。

  • 前に教えてもらったことよりも難しかったけど、新しいことを覚えられてきたのでこれから活用していきたい。

  • 頑張って作ったプログラミングを褒めてもらえて嬉しかったです。

 

デザインの授業

  • クイズがあって楽しかった。こういう考え方もあるんだと学ぶことができた。

  • デザインの手順がすごく細かくて分かりやすかった。使いやすい通学バッグの谷原さんの案を聞いたとき、さすがだなと思った。

  • 様々な種類のデザイナーの人たちがいることや、デザインにはそのデザインにした意図とかも大事ということを学べました。

  • デザインについて深く、詳しく知れた。ターゲットを絞り、たくさんの手順をふんでから作成していくのは大変だと思った。

  • 条件にあったデザインを考えることが楽しかったです。想像力が働きました。

  • デザインの配置や色が違うだけで見え方も全然ちがうのが驚きです。機会があればどんどん使っていきたい。

  • 色や文字の大きさを変えるだけでこんなに感じ方が変わるんだなと思った。

  • デザインは才能だけでできるものじゃなく、努力も必要だと分かった。

  


■導入プログラム

  • 中学生対象プログラミング&デザイン・ワークショップ



■関連情報:

 

■その他、学校との連携プログラム:

 

2026年 年頭所感:Mission-driven Company を目指して

新年あけましておめでとうございます。
2026年の年頭にあたり、ご挨拶申し上げます。

 

2026年 年頭所感:
Mission-driven Company (ミッション・ドリブン・カンパニー)を目指して

 

もくじ

▎とどまることのないデジタル技術の進歩

▎私たちは何をするのか? ダンクソフトの  Mission

▎私たちはどこに向かうのか? ダンクソフトの Vision

▎大切にする行動指針は何か? ダンクソフトの Philosophy


 ▎とどまることのないデジタル技術の進歩

2026年という新しい年を迎えて、私が感じているのは、とどまることのないデジタル技術の進歩への驚きと、それが上手に社会や暮らしに活かされていない、というもどかしさです。

 

世界に目を向けると、2025年は地域や社会の局所的分断がますます進み、いくつもの対立軸が生まれて混沌さが増したように思います。紛争も治まる気配がなく、その争いの中で、悲しいことにITがさらに存在感を大きくしています。ドローンといった目に見える武器ばかりでなく、インターネットによる情報コントロールなど、あらゆる局面においてITが鍵を握るようになってきました。

 

しかし、社会や暮らしはどうでしょうか? ダンクソフトでは「インターネットにあらゆるものをのせていく®」という言葉を掲げています。そして、私は近い未来、この言葉のような社会が必ずやって来ると考えています。それはいささか極端に言うならば、現在私たちがリアルで体感している世界を、インターネット上でも再現できるような社会です。おそらく五感のような感覚的なものはまだ難しいかもしれませんが、それでも視覚などについては8K、16K、32Kと進んでいるように、画像技術の進展によって、まるで相手が目前にいるようなリアルな体験が可能になっていくはずです。

 

こうしたパラダイム・シフトが加速する中で、大切なのは、その進歩を担うために、私たちダンクソフトがチャレンジすべきことがますます増えているということです。ダンクソフトの未来は、大きな可能性に満ちています。そのチャレンジにおいて、この2026年はひとつの転換点になると考えています。 

▎私たちは何をするのか? ダンクソフトの Mission

 

2026年、ダンクソフトは、50周年にむけて目指す企業像として「Mission-driven Company (ミッション・ドリブン・カンパニー)」を掲げます。この言葉が意味するとおり、会社として目指す方向性をミッションとして明確に提示し、社員、お客様、そして協働する人たちと共有して前進していこうというスタイルです。判断に迷ったとき、何か壁にぶつかったとき、そして、これからを創るとき、参照できるミッションを持つことは、規模の大小を問わず、人間集団にとってとても重要なことです。

 

そこで、ダンクソフトのミッションを、次のように改めて明文化しました。 

Mission

ダンクソフトとは、劇的に流れを変えるチームのことだ

若い人たちとともに、すなわち

共に学びながら行動パターンを変えられる人たちとともに

インターネットにあらゆるものをのせていく®

 

「インターネットにあらゆるものをのせていく®」に込めた想いは、すでにお話ししたとおりです。また「若い人」とは、世代や年齢や立場に関係なく、たえず新しいことを学び、前向きに行動していくマインドの若い人を意味すると思っています。もうひとつ条件をあげるとするならば、お互いに学び合う「コ・ラーニング」の姿勢も大切です。学習とは行動パターンが変わること。学び合って、行動パターンを新たに変化していける人たちとともに、プロジェクトを実施していきたいと考えています。 

▎私たちはどこに向かうのか? ダンクソフトの Vision

 

そして、ミッションに取り組んでいくために、拠りどころとなるものとして「Vision」と「Philosophy(行動指針)」を改めて整理しました。

Visionとしては、次の4つのテーマを掲げています。

Vision

未来像1:Project と Tech School の融合 ─オフィスと働き方の未来─

未来像2:スタッフが成長する未来 ─採用と成長、そしてコミュニティとともに─

未来像3:地域づくりと関係づくりの未来 ─パートナー、若者とともに─

未来像4:需要づくりの未来 ─スマートオフィス構想で人々を幸せに─

 

これらのテーマについては、ダンクソフトの「グランド・ナラティブ(大きな物語)」として以前にも紹介していますので、ここでは2026年のトピックを中心にお話ししたいと思います。

神田藍の会 ウェブサイト

まず「地域づくりと関係づくり」についてです。このテーマについては、折に触れて話題にしている「神田藍の会」の活動の中で、以前から携わってきたウェブサイトの構築・運営に加えて、ネットショップの開設を予定していますので、これをサポートしていきます。

 また、私が関わっているコミュニティの一つ、「日本パエリア協会」でも、ウェブサイト制作を支援していきます。同様に、ネットショップの開設を進めていく予定です。加えて、この関連で「日本生ハム協会」ともつながりが生まれているので、また面白いことが起こりそうです。2026年は、このように地域づくりと関係づくりが、さらに大きく広がる手応えがあり楽しみにしています。

 

さらに「需要づくりの未来」では、昨年、ダンクソフトならではの新しい協働スタイルとして、「個別対話型DX」を発表しました。顧問開発という名前で推進してきましたが、私たちの特徴である個別対話型のサービスであることが、はっきりとわかるようにしました。

現在、長くお付き合いのあるお客様と、対話と協働を中心にプロジェクトを進めています。ダンクソフトの業務管理アプリケーション「未来かんり」をベースにした、大がかりなシステム開発です。また、徳島県の医療機関とも「個別対話型DX」によるプロジェクトが進んでいます。

近いうちにダンクソフトの取り組み事例としてご紹介することになるかもしれません。ぜひ、楽しみにしていてください。 

▎大切にする行動指針は何か? ダンクソフトの Philosophy

 

行動指針としては、次の8つのワードを大切にしていきたいと考えています。

Philosophy 行動指針

ポリバレント

リ・クリエイター

多様性と対話

共感と協働

コ・ラーニング (共同学習)

リバース・メンタリング

チャレンジし続けること

オープンであること

 

これらの考え方についてもウェブサイトで公開しているので、ぜひ詳しくご覧ください。

インターネット時代に必須の「リバース・メンタリング」とは?

なお、マインドの若い人たちと関わる中で、私自身も大切にしていることが「リバース・メンタリング」です。年齢が上だったり、知識量が豊富だったりする側から、一方的に教えるのではなく、若い人たちからも積極的に学んでいこうという姿勢です。これは「コ・ラーニング」にも深く関係するマインドセットですね。

 

また、「ポリバレント」も次第に、ダンクソフトの際立った強みになってきたと思います。ポリバレントを意識したメンバー育成に継続して取り組んできた結果、チームや部門の境界を超えて連携する、柔軟な動きが生まれつつあります。さらにトピックスをあげるならば、2025年は新卒メンバーが2人加わるなど、新陳代謝が進んだ年でもありました。2026年にはこうした未来志向の動きが大きく花開くと期待しています。

 

最後に、私たちが目指す姿を鮮明にするために、ダンクソフトの社名の由来をご紹介したいと思います。

 

ダンクソフトの社名は、バスケットボールの「ダンクシュート」に由来しています。これは、ゲームの流れを変える劇的なショットを意味しています。

 

私はバスケットボールも好きで、よくプロのゲームを観にいきますが、最近の得点は、離れた所から放つ3点シュートが主流のようです。それでも、ゲームの流れを変えるほどのインパクトがあるのは、やはりコートの中央を切り裂いていくダンクシュートだと思っています。

 

2026年は、そんな力強いステップを、ダンクソフトのメンバー、そして協働するたくさんの人たちと一緒に刻んでいきたいと考えています。

ダンクソフトが挑むダンクな2026年に、どうぞご期待ください。