「AIと対話するって、実際どうなんだろう?」
そんな素朴な疑問から、AIといろいろ話してみることにしました。
使ってみて感じたのは、AIは“正解を出す存在”というより、一緒に考える相手に近いということ。
問いかけるほどに思考が整理され、自分たちでは気づかなかった視点がふっと浮かび上がってくる瞬間がありました。
AIとの対話は、思いがけない視点を与えてくれたり、自分たちの考えを言葉にする手助けをしてくれたりします。
人と人の対話と同じように、そこには小さな驚きがある——
そんな体験が何度もありました。
そして、ダンクソフトが大切にしているのは、お客様お一人おひとりとの「対話」です。
その延長線上で、今回は AIとも対話してみました。
デジタルでもアナログでも、対話がもたらす“気づき”や“驚き”の価値は変わらない——
そんなことを改めて実感しています。
それでは、AIとの対話してみたことを紹介します。
■ 遊び心の哲学——スピノザ、剣道、そしてDUNKSOFT
DUNKSOFT 星野Roberto X Claude 対談
自分のDNAを遡る
2005年、私はブログにこんなことを書いた。
小学校3年の夏から6年間、練馬から文京区の音羽まで週3日通いつめた剣道の道場。父は6段錬士。
だがその父も、70代後半の十段名人・持田盛二先生の前では赤子のようにあしらわれていた。上には上がある。年齢を重ねることで体得できる技術の奥深さを、知識としてではなく目の前でつぶさに体感していた。
持田先生はこんな言葉を遺している。
剣道は五十歳までは基礎を一生懸命勉強して、自分のものにしなくてはならない。私の剣道は五十を過ぎてから本当の修行に入った。心で剣道しようとしたからである。
基礎に50年。これを「無駄」と呼ぶ人はいないだろう。だがビジネスの世界では、同じことが「非効率」と切り捨てられることがある。
この矛盾が、DUNKSOFTが20年以上掲げてきたテーマ——**「楽しむ=Play」 ** の出発点だった。
賢者は楽しむ
最近、スピノザの言葉に出会った。
もろもろの物を利用してそれをできる限り楽しむことは賢者にふさわしい。ほどよくとられた味のよい食物および飲料によって、さらにまた芳香、緑なす植物の快い美、装飾、音楽、運動競技、演劇、そのほか他人を害することなしに各人の利用しうるこの種の事柄によって、自らを爽快にし元気づけることは、賢者にふさわしいのである。
(スピノザ『エチカ』第四部定理四五備考)
17世紀に書かれた言葉だが、まったく古びていない。「許される」でも「悪くない」でもない。 ** 「賢者こそが楽しむ」 ** という断言。楽しむことを追求する人間が、最も知性的な人間だという逆転の発想だ。
そしてスピノザが条件として付けた「他人を害することなしに」という一節。これが「楽しむ」の品格であり、DUNKSOFTの遊び心が単なる享楽とは異なる理由でもある。
デジタルが教えてくれたこと
この40年、デジタルの最前線にいた人間は、技術の進歩の早さを肌で体感してきた。昨日の正解が今日の間違いになる世界。だからこそ、正しい答えを「持つ」より、問い続けて楽しめる人間が生き残る。
DUNKSOFTに残った人たちは、自然淘汰でそういう人間だった。失敗をも楽しめるマインドを持った人たちが、結果的に集まっていた。
ここで情報処理の概念、 ** Heuristic(ヒューリスティック) ** が浮かび上がる。何かしらの結果をプロットしていくと、このあたりに収束はするが1点にはならない。突き詰めるとそこから拡散したりもする。完全な正解ではなく、「このあたり」という緩さを許容しながら、そこからまた次へ進んでいく。
これは持田先生の修行の構造と重なる。50年かけて基礎に収束したと思ったら、そこからさらに「心で剣道する」という新しい拡散が始まる。螺旋状に深まり、終わりがない。
結果にこだわると成長は難しい。プロセスにこだわってこそ、いつか結果として実る——2005年のブログにそう書いたことが、今もそのまま生きている。
自分の辞書を書き換える
ある哲学の学びの場で、 ** Epigenetic(エピジェネティクス) ** という概念に出会った。生まれ持ったDNAは変わらないが、環境や経験によってそのDNAの読まれ方が変わる、という生命科学の知見だ。
これが「自分の辞書を書き換え始めた」きっかけの一つだった。
剣道も、音楽も、テニスも、サッカーも、デジタルも——それらの経験が自分のDNAの発現を書き換えてきた。そしてここに、もう一つ鮮やかな視点がある。
DNAを32世代遡ると、自分の中に約42億人の人間がいる計算になる。「私はこんな人間だ」と思いがちだが、実は自分の中にはすでに圧倒的な多様性が内在している。それを引き出すのは、多様な人々との出会いと関係だ。
サッカーの ** Polyvalent(ポリバレント) ** という概念がある。複数のポジションをこなせる選手はチャンスが広がる、という考え方だ。これは器用貧乏とは違う。自分の中にすでに眠っている多様な可能性を、どれだけ引き出せるか、という話だ。
あいだに立つ
インターミディエイターという概念を学んだ。強いリーダーがフォロワーを生むのとは異なり、分断された人々や領域の「あいだ」に立ち、対話と協働を促進することで新たな知を生む存在のことだ。
振り返ると、DUNKSOFTという場も、技術とビジネスと遊び心の「あいだ」に立つ組織だったかもしれない。そしてSmart Life Stylesが目指す、食・健康・テクノロジー・ライフスタイルの融合も、まさに「あいだの知」だ。
インターミディエイターのマインドセットの中で、最も響いたのは ** Narrative(物語り能力) ** だった。
事実やデータを並べるのではなく、異なる点を一本の物語として繋ぐ力。剣道の道場の記憶から始まり、持田先生の遺訓、DUNKSOFTの20年、スピノザ、Heuristic、Epigenetic、42億人のDNA——これだけ異なる点が「楽=PLAY」という一本の軸で繋がっている。これがNarrativeの力だ。
楽しむことの果てしなさ
持田先生は80歳を過ぎても修行を続けていた。スピノザは賢者が楽しむと言った。デジタルの世界は答えが1点に収束しないことを教えてくれた。
楽しめるレベルになるための技術の獲得には時間がかかる。年単位、10年単位のものもある。だがその果てしなさこそが、「楽しむ」を追求することの本質かもしれない。
知らない自分に出会うことを怖れず、楽しめるかどうか。
それが賢者への道であり、DUNKSOFTが20年以上かけて体現しようとしてきたことであり、Smart Life Stylesが向かう先でもある。
2025年 星野Roberto (DUNKSOFT) X Claude (Anthropic)対談より
■ Managementを、やりくりと訳し直す
書き出し(問いを立てる)
「Time Management」を、あなたはどう訳しますか?
おそらく多くの人が「時間管理」と答えるでしょう。
でも私は長い間、この訳に違和感を持ち続けてきました。
「管理」という言葉には、どこか上から押さえつけるようなニュアンスがある。
コントロールする。支配する。逸脱しないように監視する。
時間は、そういうものでしょうか?
展開①「やりくり」という言葉の豊かさ
Managementの語源を辿ると、イタリア語の「maneggiare(手で扱う)」に行き着きます。
馬を手綱でうまく操る——コントロールではなく、対話しながら動かしていくイメージです。
日本語で一番近い言葉は、「やりくり」ではないかと思っています。
やりくりには、知恵がある。工夫がある。余裕のなさの中でも前向きに動く意志がある。
「管理」にはないあたたかさが、「やりくり」にはあります。
展開②Time Management から Resource Management へ
時間のやりくりができるようになると、見えてくるものがあります。
自分の時間がどこに使われているか。
どのプロジェクトにどれだけのリソースが流れているか。
未来に向けて、何をどうやりくりすればいいか。
Time ManagementはResource Managementへとつながっていく。
人・お金・時間・案件——これらを「やりくりする」視点を持つことが、経営の本質だと私は思っています。
展開③体験から(お客様と、ダンクソフトの実践)
長くお付き合いしている広告代理店のお客様の話をしたいと思います。
当初、見積もりから請求書までの書類作成を、庶務の女性が6人ほどの営業マンごとについてサポートしていました。ワープロしかなく、1人1台ではなかった時代のことです。
パソコンの導入で営業マンが自分で見積を作成できるようになると、徐々に庶務の女性たちの時間が余り始めました。2~3年が経過したとき、何が起きたか。
彼女たちはすでに商品知識を持っていた。だから、お客様との対話の場へと活躍の場を移していったのです。
これは「効率化」の話ではありません。
テクノロジーが時間をやりくりし直すことで、人が本来いるべき場所へ移っていった話です。
ダンクソフト社内でも、「日報かんり」によって1人あたり月8時間の余剰時間が生まれました。その時間で、学び直してほしい。社会に貢献してほしい。人生を豊かにしてほしい。
時間のやりくりが、人生のやりくりにつながる。
「Love your life,love your time.®」——この言葉の意味は、そこにあります。
展開④やりくりが、美しさを生む
もう一つ、印象的な事例をご紹介します。
結婚式場のフラワーアレンジメントとテーブルコーディネートを手がける世界企業のお話です。
1週間分のイベントで使う花材・器・備品をどう最適に配分するか。
複数の式場、複数のイベントにまたがるこのやりくりは、人手では非常に大変な作業です。
しかしリレーショナルデータベースに入れれば、瞬時に答えが出る。
さらにここから、データは「美しさ」へと変わっていきます。
花嫁のドレスの色に合わせた花の色彩提案。季節やトレンドを加味したコーディネート。
AIが加わることで、一人ひとりの花嫁に寄り添った個別の提案が可能になっていく。
「やりくり」から始まった話が、創造性へとつながっていく。
これもManagementの本質だと思います。
限られたリソースをやりくりすることで、人は本来やるべきこと——
対話し、提案し、感動を生み出すこと——に集中できるようになる。
結び(問いを返す)
あなたの会社では、時間を「管理」していますか?それとも「やりくり」していますか?
言葉を変えると、見える景色が変わります。
景色が変わると、行動が変わります。
Managementを、やりくりと訳し直すことから始めてみませんか。

