2021年 年頭所感


新年あけましておめでとうございます。

2021 年の年頭にあたり、ご挨拶申し上げます。


▎2021年、「インターネットに“あらゆるもの”をのせていく」

 2021年は、コロナ後の社会を創る時です。

 そして、コロナ後のビジネスを創るときです。

 そのカギは、「インターネットに“あらゆるもの”をのせていく」ことだと考えています。

 この流れは加速するでしょうし、加速させていきます。

 インターネットが、これからの社会インフラです。そこにようやく気づいた人も、あらためて気づいた人もいたと思います。ともあれ、ビジネスも、働き方も、暮らし方も、根本的に変わりました。

▎需要創造のパートナーへ

 コロナ禍は、各分野で需要の蒸発を生みました。ならば他方で、需要を創造しなくてはなりません。ひとつ、私たちのクライアントの話をご紹介します。長年の付きあいのある方々です。

 昨年、スマートフォンで完結できる資産運用サービスがはじまりました。数百円、数千円という少額で株式投資ができ、書類郵送は不要。取引はスマホアプリのみで行います。若者向けを想定していたのですが、少額、手軽、操作がわかりやすい……といった長所が支持されて、それまで株式投資に縁のなかったさまざまな方たちが使いはじめています。

 このように対面での窓口業務を減らし、オンラインで手続きできるようにすることで、需要の裾野が広がりました。「インターネットに“あらゆるもの”をのせていく」ことで、単に効率化することを超えて、新たな需要創造につなげていくご支援を、2021年も加速していきます。

▎“3つのD”――コロナ後における地域とビジネスのカギ

  デジタル化のはじまりは、対話のはじまりです。ウェブは本来双方向の場で、一方的なメッセージを押しつける場ではないからです。きれいにお化粧された情報だけ出していても始まりません。多様な相手に応じた質の高いコミュニケーション、つまり「対話する関係」を、いかにウェブ上で実現するかが問われる時代なのです。要するに、「デジタル」「ダイバーシティ(多様性)」「ダイアログ(対話)」。この“3つのD”が、これからの地域社会を創り、これからのビジネスを創っていきます。

▎効率化を超えて

 それから、ふたこと目には、デジタルで「効率化したい」という声も依然として多いですね。これは、一種の“効率化マニア”です。たしかに、デジタルを上手に使えるようになると、生産性や効率性は上がります。ですが、デジタルの効果は、それにとどまりません。

 デジタル化によって対話が生まれ、互いの関係が豊かになることが、デジタルがもたらす大事な効果です。デジタルは、なんとなく冷たい、非人間的というイメージが一部にありますが、まったく逆なのです。

 デジタルをうまく活かしてデジタル・デバイド(情報格差)を解消する。そして、効率性や生産性向上の実現とともに、連携と協働があちこちで進んで、人間のポテンシャルがもっと引きだされる。この過程で、ソーシャル・キャピタルが醸成されていくと、地域とビジネスも活性化していきます。ダンクソフトは、デジタルで効率化の先にある未来を応援し、人と場をリ・クリエーション(再創造)していきたいと思います。

▎「ポリバレントなひと」と「あいだを結ぶひと」

 デジタル社会で大事なのは、やはり「人間」です。とくに次の2つが、これからの人を語るキイワードです。

 ひとつは「ポリバレント」。一人ひとりが多様な役割を持ちあわせ、状況や場面におうじて柔軟に動ける人のことです。私の担当や専門はこれだから、そちらのことは知りません、という態度とは真逆です。

 もうひとつは「インターミディエイター」です。社会や関係の分断が進むなか、「あいだ」を結び、地域やビジネスを活性化していく役割です。この2つを兼ね備えていたら、なおいいですね。今後、ますます必要とされていく動きですから。

▎「イノベーション装置」として、オフィスを再定義

 さて、ダンクソフトの東京オフィスは、2019年に移転した新オフィスです。場所は神田の駅前で、大きな窓から光がよく入る、快適な新築ビルです。だれも出社しなくなった後、オンライン化が進むポスト・コロナ社会をみすえて、オフィスの一部を改装しました。

  そこは、高速・高品質のインターネット環境と音響がある、コミュニティ・スペースです。多様な人々がここに集って、出会い、対話が始まることでイノベーションが起こりつづける「イノベーション装置」としてのオフィスと再定義しました。

 冒頭にも触れたように、ダンクソフトでは2020年3月から全スタッフがリモート・ワークを継続しています。スタッフ同士あるいはお客様と会いたい気持ちが増してきて、最近では、恋しいよね、という会話も聞かれます。人は集うことで次の時代を創ってきた、と言います。2021年以降、社内外のたくさんの方々と、次を創るプロジェクトを起こしていくためにも、「集う価値」を重視しようと思っています。もちろん安全には十分に配慮しながらです。ここでは、オンラインとオフラインのハイブリッド型の集いやイベントができるので、もっと面白いことが起こる場になるだろうと期待しています。

▎ウェブ会議の質は「音」で決まる 

 そのための環境も整えました。安定した接続ができる有線の高速インターネット回線。高性能の集音マイク。そして、最大の特徴は、場の息遣いまで伝わる波動スピーカーです。空気全体を震わせることで、サントリーホール全体を心地よい音で満たすことができるというもので、世界的ミュージシャンやホテルに選ばれています。 

 オンライン・イベントやウェブ会議では、コミュニケーションの質を左右するカギは、実は「音の質」にあります。音声がクリアでなかったり、途切れがちだったりすると、ストレスが大きく、参加していて疲れますし、内容もなかなか入ってきません。質の高いインターネット・コミュニケーションをつくるうえで、「いい音づくり」が、とても大事なのです。ダンクソフトの神田オフィスがホストになればクオリティが保てるということは、配信スタジオとして大きな可能性をもっていると思います。

 すでに先日、パイロット・ケースにあたるフォーラムを行いました。上々の手応えがありました。この先行事例を実績として、2021年は、このオフィスを、人々が出会える場、イノベーションが起こる場として、皆さんと一緒に育てていきます。

▎2021年は「自然×デジタル」が飛躍する

 2021年の大きな変化として、インターネットでつながる先が、どんどん自然の中へと拡張していくでしょう。コロナ禍の動きを見ても、森、山、海といった自然界に、以前に増して人が足を運ぶようになっているようです。そこで、自然のなかに、どうデジタルをもっていくか。映像品質、通信速度などのインフラが豊かに整ったいま、もしかしたらインターネットから届く情報による体験が、アナログの、いわゆる現地での体験を越える可能性も出てきたわけです。私は少し前から「自然と機械と人間の協働」に注目しているのですが、この動きがこれからますます進むのは間違いありません。

 都市部への一極集中を軽減する意味でも、すでに人が動き始めています。BCP(事業継続計画)やリスク回避の観点からも、分散・拡散の流れが見られます。人が動けば、新しい情報も動きます。ダンクソフトでは、昨年から森林再生の取り組みや、新たな森林価値の創造に向けたプロジェクトに関わり始めました。ポスト・コロナ社会では、インターネットやデジタルの舞台は、大都市や都会から、日本全国のさまざまな地域、そして自然の中へと、さらに加速しつつ広がっていきます。

▎「SmartOffice構想」で、ともに未来へ 

 ビジネスは市場で完結しません。地域へ、自然へと広がっています。こうした複雑化し、多様化する社会の動きをみすえて、ダンクソフトはかねてから「SmartOffice構想」を推進しています。

 「インターネットに“あらゆるもの”をのせていく」を合言葉に、いろんな人やグループが柔軟なつながりを持つ。対話し、連携し、協働して、生活課題の解決や新たな価値創造が進んでいく。このような連携・協働の広がりをめざすのが「SmartOffice構想」です。

 全国各地、自分のいるところがオフィスになりますから、この動きはやがて、“脱一極集中の社会”へとつながっていきます。

 ところで、そこでは全員が「一丸となる」のではなく、それぞれが異なるキャラクターやポテンシャルを発揮しています。ダンクソフトのスタッフたちは、日ごろから一丸となることはありません。それぞれに自律し、連携して動いていくことが大事です。もう「選択と集中」の時代ではありません。「自律・分散・協調」から、イノベーションも生まれていくことになります。協働意識の中から、生活コミュニティを形成し、一人ひとりが豊かさを実感できる未来をつくっていきましょう。

 

株式会社ダンクソフト

代表取締役 星野 晃一郎