2025年10月27、28日、「Cybozu Days 2025(サイボウズデイズ 2025)」が開催されました。これはkintone(キントーン)を提供するサイボウズが実施する大規模イベントです。ダンクソフトは、今年で4回目の出展となりました。今回のテーマは「個別対話型DX: kintone顧問開発」。この「個別対話型DX」とは、ダンクソフトならではの協働スタイルのこと。大企業にはなかなかできない、きめ細やかなDX支援であることが特徴です。定額契約のもと、エンジニアたちがお客様と対話を重ねながらシステムを開発し、継続的に業務改善をサポートします。今月のコラムでは、「個別対話型DX:顧問開発」を担当するエンジニアたちが集まり、代表の星野を交え、kintone の特徴や、ダンクソフトならではのサポートについて、語り合いました。
┃お客様の課題解決のため、個別対話を重ねながら
デジタルによる業務改善を持続的にサポートしていく
星野 今年のサイボウズデイズは、ダンクソフトのブースにたくさんのお客様がいらっしゃいましたね。
kintone hive 2025に登壇された西田さんの動画です。
※ kintone hive公式チャンネルより。
港 そうでした。ブースでは、先日もこの代表コラムに登場された、地域活性化センター西田周平さんの映像を事例として流しました。kintoneで業務改善を推進している先駆的な活動が、今年、kintone hive tokyoというプレゼン・コンテストで注目されました。西田さんご本人もブースを訪ねてくださいました。
竹内 岐阜県から、徳島県からなど、遠方からのお客様も参加されていて、ダンク・ブースでお話できて、よかったですね。
港 今年のブースでは、「個別対話型DX: kintone顧問開発」を展示しました。来場者のなかには興味を持って立ちどまる人たちがいましたね。
星野 今回、ダンクソフトがご案内した「顧問開発」とは、お客様の課題をめぐって個別に丁寧な対話をしながら、デジタルによる業務改革をサポートしていくスタイルです。企業と継続的な契約を結んでいる弁護士や会計士などを想像してもらうと理解しやすいと思います。
竹内 システム開発の一般的な手法として、ウォーターフォール型があげられます。あらかじめ詳細な契約を結び、要件定義 → 設計 → 開発 → テストという工程を順番に進めていくスタイルです。このウォーターフォール型は進捗やコストを管理しやすいといった特長がありますが、一方で短所も多いんですよね。
事前にお客様から要望や課題を聞き出して入念に設計を行うわけですが、いくら丁寧にやったとしても、限られた期間で、事前にすべての課題を洗い出せるわけではありません。開発しているそばから業務のやり方や事業環境が変化して、ようやく完成しても一部が陳腐化してしまうことがよくあります。そもそも開発期間が2年も3年もかかること自体、今の時代にマッチしていません。建設業界で問題になっているように、その間にコストが急騰したり納期がずれ込んでしまう場合もあります。
このようなウォーターフォール型で浮き彫りになったシステム開発の課題を解決する方法が、「個別対話型DX:顧問開発」だと考えています。
星野 実はダンクソフトは、お客様の状況や課題に合わせて、ずいぶんと柔軟に対応してきた歴史があります。世間ではウォーターフォール型で行われていた30年前から、すでに「個別対話型DX:顧問開発」をしていたんですよ。パソコンがまだ企業に導入されていない頃には、お客様が初期投資を抑えてスタートできるように、パソコンを貸し出してご支援を始めたケースもありましたよ。
竹内 星野さんが言うように、より有効に機能するシステムを入れるなら、お客様が抱えている課題を一緒に考え、システムに落とし込んでいく必要があります。「顧問開発」であれば、そうした進め方が可能になります。
澤口 お客様からしてもメリットがあります。手戻りがなく、現場で有効に使えるしくみが目に見える形でできていくので、より満足いただけるようですね。
|中小規模の企業にとって、長い目で見て
もっともコスト・パフォーマンスに優れる開発スタイル
澤口 実際にシステムを開発していても、お客様の要望を完全に理解することは非常に難しいと感じます。例えば色を例にとると、青色といっても様々な青色があって、同じイメージを共有するためには、しっかりとした信頼関係が不可欠です。お互いにいい提案を出し合いながら、あれこれ相談しながら、それを随時システムに落とし込んでいくようなやり方がベストだと思います。
星野 わかりやすく言うならば、情報システム部門を、ダンクソフトとの連携でつくるような感覚ですね。
澤口 そうですね。既存のお客様からすると、チームメンバーが一人増えたような気持ちなのだと思います。メールをやり取りしていて、「お世話になっております」ではなく、「お疲れ様です」と書いてきてくださるんですよね。そういうときに、DXパートナーとして頼りにしていただいていることを感じます。
星野 中小規模の会社にとって、継続的に業務改善を進めていくためには、顧問開発のスタイルは、長い目で見れば一番コスト・パフォーマンスに優れているやり方だと思いますよ。
澤口 いわゆるサブスクのサービスと同じですので、お客様にとって、はじめやすいことも良さですね。まずはできる範囲でできるところから始めていただけるので、ご好評いただいています。
|大事な情報は、一つのシステムで一元管理。
開発には「リレーショナル・データベース」の考えが不可欠
港 kintoneは、多様なプラグインを揃え、ノーコード・ローコードでアプリをつくれるので、顧問開発と非常に相性がよいです。開発もスピーディーで、後からのカスタマイズも容易です。最初に土台となるアプリをつくり、それをベースにお客様とともに、最良のアプリへと仕上げていくことができます。いわゆるアジャイル的な柔軟な開発ができるので、よいですね。
澤口 kintoneは、私たちエンジニアにとってだけでなく、お客様にとっても扱いやすいツールですよね。お客様は、開発中のアプリをすぐに試すことができます。リモートで画面を共有して実際に操作しながら、追加してほしい機能などを相談いただくこともしています。それに、すぐに本番稼働ができますし、足りない部分があれば、すぐに補える良さがありますね。
港 ただ、そうはいっても、お客様それぞれの課題や希望に応じてカスタマイズするためには、やはりプログラミングの技術が必要です。そこに私たちダンクソフトの知識と経験が活かされてくるわけですよね。
竹内 kintoneの導入にあたっては、「この業務のこのプロセスを効率化したい」など、あらかじめイメージを持っているお客様も多いと思います。そういう依頼には、私たちなら、もうひとつ加えてこうしようと思うけれどもどうですか、というお話をします。そうするとお客様にも満足いただき、いい結果になります。他にも、すでに自前でkintoneのアプリを導入してみたものの、上手に使いこなせていないケースが多いのではないでしょうか。そういう方は、ぜひご相談いただきたいですよね。ダンクソフトの知見をプラスすることで、格段にレベルが上がった、納得と満足のゆくDXを進めることができると思っています。
星野 ひとつ気を付けておきたいことがあります。確かにkintoneは誰もが手軽にアプリをつくれるツールかもしれませんが、かといって、あれもこれもとつくってしまうようでは、アプリ間のデータ連携がうまくいかず、結局、真の業務改革にはつながりません。
ではどうするかといえば、「データの一元化」を考えることです。企業が扱う情報には、3種類あります。ひとつは、ヒト、モノ、おカネにまつわる情報、つまり伝票になる情報です。ふたつめは、一般文書、みっつめは画像や音声などのクリエイティブ・ファイルです。最も大事なのは、ヒト、モノ、おカネに関わる情報です。継続的な業務改善に取り組んでいくためには、まずはこれらの伝票関連情報だけをひとつのシステムに入れて、関連づけて管理することが必要です。その時に重要なのが「リレーショナル・データベース(RDB)」の考え方なんですよね。kintoneはリレーショナルの観点では少し弱いのですが、私たちはデータを関連づけて一元管理できるよう、kintoneをカスタマイズします。こうした考え方と技術を持っているダンクソフトですから、35年経っても使い続けられるソフトウェアの開発ができるわけです。
|エンジニアは、お客様とCo-learningしながら開発
直接対話で、お互いにレベルアップをはかるプロジェクトに
澤口 最近、「顧問開発」に似たような伴走型のサービスを提供するIT企業が増えてきています。そうした会社と比べて、ダンクソフトをパートナーに選ぶメリットはどこにあると思いますか?
星野 まず大手のIT企業と比べた場合、「サポートのきめ細かさ」に大きな違いがあります。大手の場合、どうしても自社で持つ汎用的なパッケージソフトを軸にした対応になりがちです。ですので、小回りがきかないことが多いですよね。その点、ダンクソフトは、先ほどから話に出ているように、お客様と個別対話を重ねながら、それぞれに最良のシステムを一緒に開発していますよね。
お客様と直接対話する、ダンクソフトのエンジニア。
竹内 なによりもの違いは、実際にプログラミングをして開発を行っている「私たちエンジニアが、直接お客様とお話しすること」でしょうね。それで、ダンクソフトでは「個別対話型DX」と呼んでいるわけですよね。
星野 そうですね。今日集まった3人をはじめ第一線のエンジニアが、お客様とリモートで顔を合わせながら課題や要望を直接聞いて、それをダイレクトに開発やカスタマイズに活かしていますから。
竹内 kintoneに関して、同じようなサービスを提供する会社がありますが、なかにはエンジニアが直接対応しないこともあるようです。ですので、お客様の困りごとなどについても、その場で答えられずに、「持ち帰って検討します」といったことも多いそうですよ。
澤口 そうするとスピードが落ちてしまいますね。さらに、お客様の考えや意図をしっかりくみ取ることもできるのかどうか。そこが一番大事ですからね。
星野 もう一つ加えるならば、対話しながら開発していくプロジェクト自体が「コ・ラーニング」(共同学習)の機会になっていることも、大きな特長ですね。これはダンクソフトが大事にしている価値観です。先ほどあげた地域活性化センター様などは典型的なケースですね。ダンクソフトとの協働をきっかけに、ご担当者がどんどん成長していくわけです。しかも、新しいチームメンバーも増え、業務改善や変革の波が団体の内外に広がろうとしています。
|対話力、技術力を磨き続けるエンジニアとの連携で
明るく楽しいデジタルの未来をつくる
星野 kintoneはクラウドをベースとしたツールで、社内のパソコンばかりでなく、スマホなど出先からも利用できます。つまり、インターネットの利用を前提にしているわけで、そうなるとシステムの開発や運用にはセキュリティをはじめ、さらに複雑な問題が絡んできます。ダンクソフトはこういった分野にも豊富な知見を持っていますので、お客様が享受できるメリットは、とても幅広いと思います。サイボウズデイズでも新しい出会いがあったようですし、今後は、「顧問開発」の広がりとともに新しいお客様と協働する機会がさらに増えてきますね。
澤口 そうですね。「顧問開発」は、強固なゴール設定をしてから始める従来の開発スタイルと異なるため、最初は戸惑う方もいるかもしれません。ただ、基本的には家庭で契約している動画配信など、いわゆるサブスクのサービスと同じです。最初に数ヶ月お試ししてみて、自分の会社にマッチしていないと思えば、いつでもストップできますし。ですので、私たちダンクソフトを信頼して、まずは気軽な感じで声をかけてもらえたら嬉しいですね。
港 既存のお客様との絆も、さらに深めていきたいと思っています。その協働によって私たちエンジニアの経験も深まり、それが新しいお客様とのプロジェクトにも活きてくると思っています。
竹内 同じようなサービスを展開する他社さんと比べても、私たちエンジニアの技術力と対話力が高いことは、ひとつの特徴だと言えます。ただ手前みそに聞こえてしまうので、表現が難しいのですが…。
星野 レベルの高さでいうと、例えばマイクロソフトではドッグフードといって、新しい製品を社員たちが徹底的に試す期間がありますよね。ダンクソフトでも自分たちで経験することを重視しています。ですので、お客様に提供しているソリューションは、社内で日常的に皆がしっかり使っています。使っていないものを販売しているところとは、まったく質が異なりますよね。また、たとえばkintoneの「顧問開発」で契約していても、いろいろデジタル周りで分からないことがあれば、私たちに聞いていただけたらお答えできることも多いですね。
竹内 そうですね。いちど私たちとのセッションを経験していただけると、その良さが実感していただけると思います。お客様が、ダンクソフトはいいですよと他の方に伝えていただけるような仕事を、これからもしていきたいですね。
星野 先ほどデータの一元管理や連携の話をしましたが、そのネットワークを社内だけでなく、社外にも広めていけば、業務の効率も圧倒的に向上するはずです。実際、ダンクソフトでは、一部のお客様とこうしたデータの連携を進めています。将来的には、お客様の社内外とのデータ連携をシームレスにサポートし、企業ばかりでなく、社会全体の効率化にも貢献していきたいですね。
先日、親族の集まりがあり、久しぶりに甥や姪と話をしました。彼らの会社ではいまだにFAXを常用していて「非効率で仕方がない」とぼやいていました。私たちダンクソフトは、引き続き皆さんとともに、明るく楽しいデジタルの未来をつくっていきたいと思っています。

