インターネットに あらゆるものを のせていく −「スマートオフィス構想」編


 

■ポスト・コロナ社会という大変革の真っただ中で 

 ポスト・コロナ社会のビジネスは、「インターネットにあらゆるものをのせていく」かどうかが、時代のカギを握ります。今こそ、あらゆるビジネスをインターネットにのせていく好機です。多くの方が、テレワークの大切さに気がついたと思います。

 ポスト・コロナ社会では、インターネットがすべての重要なインフラになります。場所、空間、距離の制約がなくなり、移動にかかる時間とコストも不要になります。ビジネスも一人ひとりの生活も、行動のデフォルトはオンラインになり、フィジカルな移動は必要最小限に抑えられていくでしょう。今後、人類が感染症と共存していくうえで、公衆衛生や移動の考え方が、根本から書き換えられるからです。

 ビジネスも学びも、どこにいるかは問題でなくなります。情報の地域格差がなくなり、より平等になります。日本国内だけに限らず、世界全体の変化です。ケンブリッジ大学やハーバード大学がいち早くコースをオンライン化したように、世界中が開かれていきます。今、私たちは、社会が一気に変革する真っただ中にいるのです。

 

■今いる場所が 「スマートオフィス」になっていく

 そのようなポスト・コロナ社会では、ダンクソフトが提言する「スマートオフィス構想」は、さらに重要な位置づけを占め、ますます真価を発揮していくでしょう。

 最近では、ビジネスの担い手はさまざまです。企業も、NPOも、自治体も、個人も、ビジネスの担い手になっています。それぞれに合ったスタイルで、インターネットをうまく活用しながらビジネスを推進することが、これからますます重要です。

  「スマートオフィス」とは、「あらゆるものをインターネットにのせていくオフィス」のことで、それぞれのスタイルで、インターネットを上手に利用して、クリエイティブに仕事ができるビジネス環境のこと。テレワーク、クラウド、ウェブ、デジタル・コミュニケーションを組み合わせれば、いろんな人と柔軟なつながりが持て、ビジネス連携が広がる新しいビジネスのあり方を可能にします。そして、スマートオフィスどうしが、日本中あるいは世界とも連携・協働していくと、単体では叶わなかったような社会課題の解決や新たな価値創造ができていきます。そのような連携・協働の広がりを目指すのが「スマートオフィス構想」です。ただ1社がテレワーク化しただけにとどまっては、もったいない。その先があるからです。

 情報がデジタル化され、インターネットでさまざまな人や拠点とコミュニケーションができ、働き方も企業経営も、よりクリエイティブに。場所は問いません。フィジカルなオフィスは、あってもなくてもかまいません。インターネットにつながっていて、必要な情報や人や場にアクセスすることができれば、在宅でも移動しながらでもかまわない。今いる場所がスマートオフィスになっていくとイメージしてください。

 大事なのは、「あらゆるものをインターネットにのせていく」ことです。情報にアクセスでき、人とつながっていることです。そうすれば、スマートに、ビジネスの成果をあげていくことができます。

■新たな時代の物語を生きる

 これまでとこれからでは、社会の前提がまったく違うものになるでしょう。同じ現象でも、違うメガネで見れば意味が変わるように、世の中の課題や可能性を読みかえていかなければならないと思っています。 

 たとえば、これまでは都市と地方の間にはフィジカルな境界や格差がありました。ビジネスの中心は東京などの大都市圏にあり、中心部から遠く離れていることや、移動に時間がかかることはデメリットと考えられてきました。地方や地域の人口が都会へ流出し、地方の人材不足や高齢化が課題となってきました。一方、都市部は都市部で、人の多さや流動性の高さからコミュニティがなくなり、人と人のつながりが希薄だという課題を抱えています。また、日本全国で地域を問わず、多くの中小企業経営者を悩ませている課題として、事業継承、後継者問題が深刻です。

 これらの課題は、これまでは、地方の課題、都市部の課題、中小企業の課題と、別々のカテゴリーで語られてきましたが、これからは、新たなメガネで読み直す必要があります。そして、ポスト・コロナ社会をベースに考えると、「スマートオフィス構想」の切り口から、一気に解決することができるのです。

 まず、「インターネットにあらゆるビジネスをのせていく」ことで、いろんな人とつながって、場所を問わず仕事ができるビジネス環境をもつことができます。これにより、場所、空間、距離の制約がなくなりますから、地方が抱えていた物理的距離というデメリットはなくなります。都会にいても、地域にいても、多様なつながりをもち、距離を超えて複数のコミュニティに属することも可能になります。また、場所にしばられない企業経営によって、事業継承の可能性は大きく広がります。たとえば、離れた土地にいる孫がふるさとの企業を継いで、離れた場所にいながらテレワークで経営を継続していくこともできるからです。

 どうでしょう。「スマートオフィス」の発想によって、これまで難題だとされてきた社会課題が解決され、むしろ新たな価値創造の可能性が広がる。わくわくする未来が見えてくるのではないでしょうか。

 私の親や私くらいの世代までは、「働く」といえば都市部にある企業に就職することだという神話がありました。でも、もうそんな時代ではありません。少し前まで想像もできなかった未来のなかに、すでに私たちは突入しています。ポスト・コロナ社会という、新しい時代の物語を生きているのです。

■スピード感をもって今すぐ始める 

 ポスト・コロナ社会に、あらゆるビジネスをインターネットにのせて進化させていくうえで、大切なことがいくつかあります。

 まず、変革の時代は「スピード」が大事です。いち早くインターネット上にビジネスを展開したいものです。今後の働き方やビジネスの進化を加速させていくためにも、この先の社会を早くイメージして、早く動き出した人から結果を手にしていきます。

 場所が関係なくなり、世界中がマーケットになります。それぞれのビジネスがもつ独自の魅力は大きな可能性となるでしょう。先行者利益は大きく、よりよいものをよりよい形で展開できれば、ビジネスは劇的に進化します。

 だからこそ、経営者のマインドセットを新しくすることが大事になります。やはり経営者がスピードに乗っていけなければ、その企業は時代に取り残されてしまいますから。

■相互信頼とつながりが、きわめて大切になる時代

 そして、この先、きわめて大切なのが「相互信頼」です。こういう時代こそ、信頼できる人どうしが結ばれるべきです。インターネットは、場所の壁も、時間の壁も、言葉の壁も超えていきます。残るのは、意識の壁、つまりマインドセットだけです。連帯・連携できる人がどれだけいるかで速さも広がりも決まります。信頼できる人どうしがつながれば、スピードも加速度的に上がります。空間でつながっているより、未来のイメージを共有できているかどうかで、ビジネスの推進に違いがでます。

 「スマートオフィス構想」がつくりたいのは、人々の思いがつながり合う「ふるさとの未来」です。ここでいう「ふるさと」は、生まれ育った故郷や地域とはかぎりません。縁あって関わりをもち、思いを寄せるコミュニティがあれば、そこもひとつの「ふるさと」です。ですから、一人でいくつもの「ふるさと」をもつことだってありえます。

 従来、地方創生や地域活性化というと、特定の場所に発想が固定され、地元に大企業を誘致するという考えになりがちでした。そうではなく、ポスト・コロナ社会では、「あらゆるビジネスをインターネットにのせていく」こと、それによって日本全国のあらゆるビジネスをデジタル・リクリエーションしていきたい。そうすれば、地域にこそ息づくユニークな企業やサービスやプロダクトを、世界に展開していけます。そのためのテレワークであり、ウェブでの情報公開であり、多様なプレイヤーとの連携なのです。改めて強調したいと思います。

■ふるさとの未来をつくる「スマートオフィス構想」

 「スマートオフィス構想」は、あらゆる場所に可能性をひらきます。テレワーク、クラウド、ウェブ、デジタル・コミュニケーションを組み合わせれば、地方であれ都心であれ、若い人、女性、シニアなど、多様なアクターが活躍する場がつくれます。そこに新しいビジネスが生まれ、社会課題の解決と価値創造をもたらし、住みたい場所で暮らしながら、楽しく働くことができる。相互信頼のつながりに支えられているからこそできるライフスタイルであり、これがスマートオフィス構想がつくりたい「ふるさとの未来」の姿です。ダンクソフトが長年関わっている徳島県阿南市での阿南工業高等専門学校(阿南高専)との連携プロジェクトは、その先行モデルとなる好事例と言えるでしょう。いまも進行中です。

 ソーシャル・キャピタルを豊かにはぐくみ、多様なメンバーがインターネット上で「スマートオフィス構想」を展開していくには、「あいだ」を結ぶインターミディエイターがますます重要になってきます。連携・協働しながら社会課題の解決や価値創造をしていくうえで、欠かせないこれからの役割です。ダンクソフトは、デジタルを媒介に、インターミディエイターの役割を果たしながら、みなさんと連携して、日本全体をカラフルにしていきたいですね。