神田祭2025:江戸三大祭りのひとつに、地域企業としてダンクソフトも参加


今年(2025年)の5月8日から、東京千代田区の神田明神で「神田祭(かんだまつり)」が行われます。江戸三大祭りのひとつに数えられ、毎回30万人を超える人で町中が賑わう大祭礼です。今年はこのお祭りに、地元町内会の一員としてダンクソフトも参加することになりました。代表・星野も半被と帯の講習会に参加してきました。今回のコラムは、地域のお祭りに初参加するダンクソフトが、神田祭の魅力を紹介します。地元でのリアルな体験と、得意とするデジタル技術の化学反応はおこるのか?ダンクソフトの地域コミュニティにおける取り組みを紹介します。 


┃神田祭は、江戸三大祭りのひとつ、2年に1度行われる大祭礼 

今年(2025年)の5月8日から「神田祭」(かんだまつり)が行われます。山王祭、深川八幡祭と並んで、江戸三大祭りのひとつとされる東京を代表するお祭りです。京都の祇園祭、大阪の天神祭と並んで、日本の三大祭りのひとつにも数えられています。2年に1度、東京・千代田区の神田明神で行われ、毎回30万人を超える人で町中が賑わう大祭礼です。 

 

その起源についてはあまり明かではないようですが、江戸時代には幕府の庇護を受け、城内に祭礼行列が練り込んで、将軍による上覧もありました。庶民から「天下祭」として親しまれたそうです。 

 

お祭りは5月8日、神田祭の始まりを告げる神事、「鳳輦神輿遷座祭 (ほうれんみこしせんざさい)」で幕開けし、9日夕刻に「氏子町会神輿神霊(みたま)入れ」が執り行われます。 

 

この神田祭のハイライトともいえるのが、10日に行われる「神幸祭 (しんこうさい)」です。平安時代の衣装を身につけた絢爛豪華な大行列が神田・日本橋・大手町・丸の内・秋葉原の町を練り歩きます。午後には、趣向を凝らした曳き物を巡行する「附け祭 (つけまつり)」と合流し、数千人規模の大行列に膨らみます。  

そして一番の見どころが、11日に行われる「神輿宮入 (みこしみやいり)」。 

氏子の108町会、大小200を超える神輿が、揃いの半被を着た氏子たちに担がれて町内を練り歩き、朝から晩まで続々と神田明神に宮入りします。  

ちなみに神田祭は、昔は京都の祇園祭と同じように、山車(だし)が中心のお祭りでした。それが明治時代以降の路面電車や電線の普及とともに通行に支障をきたすようになり、現在のような町神輿が主流になったそうです。   

┃町内会の一員として、ダンクソフトが由緒ある祭りに参加 

 

今年は、ダンクソフトも、この神田祭に参加します。 

 

きっかけは、昨年夏に引っ越してきた新オフィスです。神田祭には氏子として108にものぼる町内会が参加するのですが、そのひとつに「神田須田町二丁目町会」があります。新オフィスが入居するビルがこの町内に位置しているんですが、ビルが自治会に参加していたようでした。ある日、ポストに神田祭参加の案内が届いていたんです。興味を持って、万世橋区民会館で行われた説明会に行ってみました。それがはじまりで、今年の2月頃のことです。 

 

私は、以前から「神田藍の会」を運営するなど、企業が地元コミュニティとつながりを持てるように活動してきました。まして伝統ある大祭に関われることは、地元にいるからこそ体験できる貴重なチャンスです。根っからの好奇心もむくむく膨らんできて、ぜひ参加してみることにしました。説明を聞いていると、話の端々に「粋」や「いなせ」といった言葉が交じり、そんな雰囲気にも刺激を受けましたね。   

┃お祭りに向けて開催される地域での講習会 

 

その後は、毎週水曜日にお祭りに向けた講習会が行われています。祭りに関わるしきたりや御神輿の担ぎ方など内容はさまざまです。

さすがに仕事もあるので毎回は参加できませんが、ある回では、半被を着る時に巻く帯の結び方を習いました。これは印象深い機会になりました。  

法被よりも、帯が難しいんです。帯の長さは4メートルくらいあり、それを2つ折にして腰のまわりに巻いていきます。最後に結んだ両端がV字型に上向くのが粋な結び方だそうです。両端が上を向く姿が縁起がよいという話でした。 

 

もちろん、祭りの時に着る半被も「神田須田町二丁目町会」のオリジナルです。町内会では約600着もの半被を用意しているそうです。神輿を担ぐのには、20人~30人かかるのだそうです。ただ重いので、しょっちゅう入れ替わりながら担ぐそうで、交代のためにも、多く用意しているのだそうです。 

 

ちなみに、この町内の昼間の人口は6000人弱。それに対して、夜間人口が600人ほどだという話を聞きました。東京都心部ではよく耳にする話ですが、人口減少のため、祭りの時には神輿の担ぎ手が少なくて苦心しています。昼間にそのエリアで働く人たちが参加すれば、若い担ぎ手も増えるかもしれません。また、町内会に関わっていなくても参加できる仕組みがあるようなので、興味のある人は、つてを頼ってどこかの町内会に尋ねてみてはいかがでしょうか。 

 

もう少しだけローカルな話をすると、神田須田町二丁目町会は、近隣にある「柳森(やなぎもり)神社」の氏子でもあります。お祭りの期間中、11日に柳森神社、12日に神田明神に宮入りします。 


神田明神の宮入りでは、各神輿が大鳥居の下を通りますが、なかには大型のために鳥居につっかかってしまい、脇を通らなければならない神輿もあります。その大きな神輿のひとつが、うちの町会の神輿であり、それが町の自慢のようです。「神田藍の会」には、お隣の「神田東松下町」のメンバーが何人かいます。話を聞いていると、うちの神輿のほうが大きいなど、時々、町内会同士のライバル心みたいなものが伝わってきます。そんな雰囲気が味わえることも、地域に参加する楽しみのひとつになっています。  

┃地域のコミュニティ活動「神田藍の会」から縁が深まり、神田祭へ 

 

私が、神田という地域とこのような関わりを持つようになったのは、「神田藍の会」が始まりです。今から数年前、「インターミディエイター・フォーラム」という集まりで、峯岸由美子さん(一般社団法人「遊心」代表理事)と出会い、意気投合してプロジェクトに参加しました。その頃、峯岸さんは、神田地域にあるビルの屋上を使って、子どもたちと一緒に野菜を育てる活動をしていました。詳しい話は省きますが、その野菜に代わって、神田にもゆかりの深い「藍」を地元の人たちと一緒に育てようと、「神田藍の会」を立ち上げました。2021年のことです。 

 

もともと神田は、ダンクソフトにとっては創業の地です。40年を超える活動のうち、半分ちかい歳月を、神田がある千代田区を拠点にしてきました。地域といえば、ダンクソフトはこれまで、全国各地で地域コミュニティと一緒にスマートオフィスや新しい働き方を推進するプロジェクトを実施してきた企業です。ですが、なぜか東京本社のある地域とは、なかなかそういう関係にはなりませんでした。そんな状況が、「神田藍の会」をきっかけに少しずつ変わってきて、今回の神田祭への関わりで、またステップアップしたように感じています。  

┃コミュニティFMというメディアから、新しい地域のつながりを 


ダンクソフトが携わっているもうひとつの地元コミュニティ活動があります。それが、「中央エフエム」です。 

 

これは、中央区を拠点とするコミュニティFMです。2010年に中央区が初めて始めたワークライフバランス推進認定企業にダンクソフトが認定されたことが縁で、翌2011年から、当時中央区にあったオフィスを使って、生放送の番組を始めました。以来、継続して番組をお届けしてきましたが、この千代田区須田町二丁目の現オフィスに移転した今も、オフィスをスタジオにして生放送の番組をやっています。 

 

名前は「中央エフエム」でありながら、現在は隣の「千代田区」を拠点に番組をやっているわけですが、私はこれをきっかけに中央区と千代田区を結ぶようなコミュニティづくりに貢献できたらと考えています。実際、地元の須田町二丁目にゆかりのある人物に登場してもらう企画も進行中です。 

 

コミュニティFMは、災害時には災害情報を伝える放送に切り替わるなど、地域コミュニティにとって重要な情報インフラでもあります。そんなメディアの可能性を探りながら、また新しい取り組みへと広げることができたら楽しいですし、地域貢献の輪を広げられるかと、実証実験を続けています。  

┃地域づくりと関係づくりの未来に向けて 

 

ダンクソフトでは、2024年7月、創業50周年に向けての「グランド・ナラティブ(大きな物語、未来構想)」をつくりました。その中の大きな柱のひとつとして「地域づくりと関係づくりの未来」をあげています。 

 

地域コミュニティとの協働については、これまでも私たちなりに経験を積んできましたし、ダンクソフトには「WeARee!(ウィアリー)」をはじめ、地域での取り組みを支援するユニークな製品が多くあります。そんなデジタルの力と、今年の神田祭のようなリアルなつながりをかけ合わせながら、グランド・ナラティブで掲げている「明るく楽しいデジタルの未来」に一歩ずつ近づいていきたいと考えています。 

 

「神田藍の会」の活動も年々多くの人たちが関わるようになり、地域コミュニティにしっかり根を落としつつあります。今年の2月には、地元の保育園の子どもたちも参加して、神田明神に藍の種を奉納しました。この子どもたちが大人になったとき、デジタルと社会の関係はさらに大きく進化しているはずです。将来、デジタルで便利に楽になった暮らしを享受しながら、自分たちで育てた藍で染めた手ぬぐいを頭に巻いて、神田祭の御神輿を担いでくれたら嬉しいと思っています。 

 

今年の神田祭では、私も町内会の半被をまとい、参加してみます。御神輿は相当腰にくるようなので、担ぐかどうかは迷いますね。地域の祭りに地元企業として関われるのは、貴重な経験です。ダンクソフトは、神田祭とちょうど同じタイミングに、年に2回の全社会議を開催することにしましたので、ダンクソフトのメンバーたちにも声をかけています。お祭りに参加しなくても、東京の町中を絢爛豪華な行列が練り歩く様子を目の当たりにするだけでも、忘れられない体験となるはず。皆さんも、ぜひ、季節の風物詩、神田祭を楽しみにしていてくださいね。