働き方改革とは──「クリエイティブ・ワークチーム」というビジョン

■何のための効率化?

 今年もダンクソフトは、「テレワーク・デイズ」に参加しました。「働き方改革」をうたうテレワーク・デイズのウェブサイトでは、テレワーク推進の目的のひとつに「生産性の向上」とありますが、世のなか全般、とくに政府のいう「生産性向上」というのが、ちょっと違うんじゃないかなと、前々から思っています。というのも、働き方改革といったときに、コンピューターを使って効率化しましょう、生産性を向上させましょう、ということがよく言われます。ただ、ほとんどの場合、利益を増やすためにコストを下げよう、というだけの主張になっていて、たとえば工場の全自動化で効率化するという話になってしまう。バックオフィスの効率化についても同様で、コスト削減や利益増大のためと位置づけられます。それはダンクソフトの考え方とは違うし、働き方改革の目的が本当に物理的な「効率化」だけに終わってしまうと、ずいぶん寂しい話になってしまいます。

■大事なのは「効率化の、その先」を考えること

 世間で言われている「働き方改革」と、ダンクソフトが考える「働き方改革」は、そもそもから違います。

 ダンクソフトはデジタルの会社なので、どうしても効率化や生産性向上という視点で見られがちですが、それはある意味あたりまえのファースト・ステップです。ダンクソフトが力を発揮してきたし、これからも大事にしていくのは、「効率化の、その先」です。

  効率化するところは効率化しながら、それぞれがどう「クリエイティビティ」を高められるか。事業活動を通じて、一人ひとりが、コミュニティーや企業をどう変えられるか、より豊かなコミュニケーションの場を育てられるか。さらに言えば、新たな付加価値を生み、イノベーションを促進できるか。こういうことが起こるのが「クリエイティブ・ワークチーム」です。詳しくは後半でご案内します。

 そのためにも、スタッフ一人ひとりが、効率化によって時間をたくさん生み出して、自分のレベルを上げていってほしい。それは技能面でも人間的成長の面でもです。100年人生をみすえたリ・ラーニング(学び直し)とか、自然に触れるとか、絵を見るとか、音楽を聴くとか、行ったことのない場所に行って影響を受けるとか。毎日を豊かに過ごすことができるようになれば、結果としてクリエイティビティが高まり、付加価値も上がる。それがお客様への、よりよいサービスの提供につながります。

  「時間は人生のために」というのがダンクソフトのテーマのひとつで、付加価値は自分が得られた感動の蓄積からしか出てこない果実だと考えています。だから僕はよく「きれいな夕焼けを見ましょう」などと言っていていますが、そういうクリエイティビティを刺激する時間をもつために、時間の効率化が大事だということなんです。よく言われるように、ヨーロッパの人たちは日本よりも長いスパンのバカンスを平気で取ります。でも経済成長率は日本より上だったりするんですよね。ひるがえって、日本は、休みが取れない上に、労働生産性は先進国のなかでとても低いのです。これでは未来はあまり楽しくないうえに、おそらくいい方向には行かないことが見えています。だから、デジタル活用を強調しなければなりません。

■クリエイティビティの秘訣

 クリエイティビティ、新しいものを創造する力というと、ひらめきや直感が注目されがちかもしれませんが、「直感力」は「ルーティン力」があってこそ生まれるものです。たとえば、絵ならデッサン、ピアノならバイエル、スポーツなら素振りやフォーム練習とか。バレエでも料理でもなんでもそうです。将棋の羽生善治さんも言うように、どれだけ手数を打っているかが勝負なのです。

  IT系の知的作業も同じです。ウェブ・デザインにしても、プログラミングにしてもシステム構築でも、ほぼほぼやることといえば単純作業なんです。その単純作業の繰り返しのなかで、ちょっとしたヒント、つまり小さな創意があって最終結果が劇的に変わることがある。日々の反復があってこそ直感が生まれる。クリエイティブになるには、「ルーティン力」もおさえておかなければいけないと思っています。

  ITスキルの習熟は、最初は地道な作業にはじまり、やがて全体の構造、フレームワーク、そして高度な応用へと、段階を踏んでステップアップしていきます。ダンクソフトには未経験や他業界から入ってきた人も多くいますが、経験のない人でも、ちゃんとステップを踏めば学んでいけます。志向や適正次第で幅を広げていけますし、クリエイティビティを発揮しているスタッフたちがたくさんいるのは、ダンクソフトの特徴のひとつです。

  クリエイティビティと関連して、想像力、イマジネーションもとても重要です。たとえば、ウェブ・チームは、クライアントとともに、ウェブサイト制作を入り口としたデジタルな価値創造をしていくわけですが、クライアントが求めている提案は、最終的にはクライアントにとってのお客様への提案ですよね。クライアントのウェブを見る人は誰か、ということがイメージできていないと、よりよい提案にはなりません。さらに、提案にはクライアントのスタンスも含まれていなければならない。クライアントとその先のお客様や、全体のなかのバランスも考えながら、色やデザインが決まっていきます。イマジネーションを発揮することで、ウェブを活かしたお客様との関係づくりをご支援できます。

  ともあれ、クリエイティビティもイマジネーションも、一人の天才や個人の産物ではありません。対話と集団のなかから生まれてくるものです。だから、グループのなかから生まれてくるクリエイティビティが大事です。

■「クリエイティブ・ワークチーム」をつくろう

 先日、ウェブ・チームのなかで、こんなことがありました。あるスタッフがお盆で田舎に帰省してテレワーク(在宅勤務)をしていたところ、席を外しているあいだにクライアントから緊急の問い合わせが入った。しかしチームで情報共有が行き届いていたので、代わりに別のスタッフが対応し、滞りなく応じることができた、というのです。

 ダンクソフトでは日常茶飯事なのですが、そのスタッフはダンクソフトに入ってまだ日が浅いこともあってか、「チームワークのレベルが高い」と感慨深そうに話してくれました。聞けば、今まで経験したどの職場環境と比べても、「情報共有の状況が格段にちがう」そうです。また別のスタッフも、長くダンクソフトにいればいるほど、小さな情報でも共有しようとする姿勢があり、それを見習いたいと、お子さんが熱を出して急遽お休みを取った翌日に、聞かせてくれました。

 ダンクソフトでチームワークがうまくいっている背景には、いくつかの理由があります。まず、場所を問わず柔軟に勤務できるように、みんながデジタル・テクノロジーやツールを使うことができる。また、スタッフが働きやすいように、会社側ではなくスタッフ主導でまとめた就業規則がある。つまり、主体性を発揮できる環境を整えてきたんですね。先月のコラムでも触れましたが、ダンクソフトは2008年からテレワークに取り組みはじめて、いろいろなトライ&エラーを繰り返してきました。11年経った今、ここまで充実した環境がどうしてできてきたかというと、やはり「そのほうが休みやすい」という実感からだと思います。

 休みやすい企業、より自在な働き方にしようと思うと、自分がいなくても大丈夫なようにしておくのが一番いい。みんなそれを経験的に実感して、チームとしてのデジタル・スキルや、コミュニケーションの質が高くなっていきました。当然、付加価値の高いサービスをお客様に提供できるようになる。環境があるから実践できる、実践したらよさを実感した、だからますます促進される、という好循環が生まれています。クリエイティビティ向上に、いい影響しかありませんよね。

  もちろん、もっと大きな危機への対応やBCP(事業継続計画)の観点からも、チームで情報共有を徹底することは重要です。イマジネーション(想像力)やチームワークが最も必要になるのが、リスク回避の場面でもあるからです。

  ウェブ・チームのエピソードにみられるようなダンクソフトの「助け合う」風土も、徐々に育ってきたものです。意識改革のきっかけとして大きかったのは、徳島でのサテライト・オフィスができ、高知や宇都宮をはじめとして全国に拠点が広がり、テレワーク化が進んだことです。離れて共に働くチームでは、小さな情報でも共有しておく姿勢や配慮が大事になります。

  また、平成21(2009)年度に「中央区ワーク・ライフ・バランス推進企業認定」制度の第1回認定企業に選んでいただいたことも大きかったです。自分たちの働きやすさを求めてしてきたことが世の中から評価されるのは、やはりありがたいことです。それ以来、厚労省、総務省、徳島県などから、数々の賞をいただいています。外から評価されることで、先進的なことをやっていたのだと、ダンクソフト流の「働き方改革」というものを初めて自覚しました。

今では、ダンクソフトのみならず、当社のお客様たちが、同様に、効率化・生産性向上を実現しながら、事業をよりクリエイティブに展開されています。先日お話を伺った徳島合同証券様をはじめとして、表彰されるにとどまらず、さらにあたらしい事業を開始するなど、みなさん次の創造的フェーズに入られています。ご一緒に、「クリエイティブ・ワークチーム」をつくり、成果を上げて、もっと面白い、楽しい日本にしていきましょう!