Digital Re-Creationの実際

■困りごとの解消から、その先へ

 超高速で進みつづけるデジタル・テクノロジーを、仕事のなかに、社会のしくみに、どう組み込み、活かすか。既存の課題を解決するだけでなく、道のないところに新たな課題を設定し、フィールドを切り拓く。可能性のタネを見つけ、ビジネスと社会をバージョン・アップしていく。ダンクソフトでは、デジタル・テクノロジーではじまりをつくることを、“Digital Re-Creation”と呼んでいます。今回はその最前線で活躍する企画チームをご紹介します。

 企画チームは、マーケティングやお客様との関係づくり、イベントなど、新しく何かをはじめるときに動くチームで、デジタル・テクノロジーを使ったこれからの需要創造を担っています。また、10年、20年つづくお客様のICTサポートを担当し、新時代のデジタル環境を提案するのも企画チームです。すべてはデジタルでお客様の困りごとを解決し、次をつくるサポートをしていく。「インクリメンタル・イノベーション(漸進的イノベーション)」の体現者たちと言えるでしょう。

 今回は、企画チームで担当する、デジタル・テクノロジーがビジネスを変えた事例を4つご紹介します。

 

1つ目は、30年以上にわたって当社がICTサポートをしている株式会社ユーアイ様です。花装飾、生花販売、ブライダル装花などの事業を展開する企業で、業務特性にあわせたシステムをご提供し、継続サポートしています。どんな業界でもそうであるように、生花・装花の業界にも業界特有の仕事のしくみがあります。発注、仕入れ、原価管理、また店舗ごとの状況共有や何年も先のご予約など、空間的にも時間的にも、あつかう情報が独特かつ多様なのです。そうした仕事のあり方に応じて、また時代に応じて、ご一緒にシステムを育ててきました。1988年(昭和63年)、まだNECのPC98を使っていた頃から、昭和、平成、令和と、3つの時代にまたがるおつき合いになっています。

 使いやすいシステムの導入によって業務にかかわる時間が減り、時間や人をより有効に活かせるようになったというお客様は、他にもたくさんおられます。2つ目の事例は、老舗広告代理店のムサシノ広告社様です。この会社では、システムの導入によって、庶務業務の負担軽減を実現しました。その結果、それまで庶務だけを担当していた人も営業など他の仕事ができるようになり、人的リソースを有効に活用なさっています。

 

■デジタルという「新しいリアル」の価値

 3つ目の事例は、NPO法人 大田・花とみどりのまちづくり様です。大田区内で花とみどりを守り育てる活動に取りくむNPOで、100人以上のボランティアが活動しています。活動内容は多岐にわたり、ボランティア活動のほか、区の事業受託、講座・イベント開催などもされています。これまでは手書きとエクセルが混在する煩雑な情報管理体制でした。そうした事務局運営の負担を軽減するため、クラウド型のシステムを導入し、これからテスト運用に入るところです。

 NPO法人、ボランティア団体をはじめ、全国各地でさまざまな地域コミュニティが活性化していますが、組織運営のノウハウに悩む団体は少なくありません。情報が生命線のNPOですが、シニア世代や企業経験の少ない方など、まだデジタルやシステム利用に慣れていない方も多いなか、どのように現場に導入し、運用していくか。それによって日ごろの社会関係や活動がどう変わるか。ここでのケースが成功事例になれば、全国のNPOや団体運営にも活かしていけるでしょう。これからの可能性という意味でも、各方面から大いに期待されている取り組みです。

 最後、4つ目の事例は、萩と東京のギャラリーをつないだ経済化の実験「行かずとも居るかたち」です。東京・上野にある「GALLERY心」と、山口県萩市にある「ギャラリーJIBITA」とをオンラインでつなぎ、作品を通じて文化とビジネスを橋わたしする実験的イベントです。今年で2年目となりました。去年につづき、萩と東京の2拠点をskypeでつなぐことに加え、今年は新たにAR(拡張現実)を活用したツールを開発し、導入しました。

 ARを介して、ものの背景にあるストーリーがわかるだけでなく、お客様がリアクションできるしくみを入れたことで、双方向のコミュニケーション・ツールになりました。「時と場を共にする」と言いますが、場は離れていながらにして、時を共にし、同じものを見ることができるようになったわけです。こうした体験を通して、現地・萩への関心が高まり、さらには、そこに行きたいというモチベーションが生まれてほしいと思っています。物理的な距離をデジタル・テクノロジーが先に縮め、続いて人間同士の距離を縮めていく。デジタルでつながるからこそ、じかに会いたくなる。そんなアクションにつながるきっかけとなることを目指しています。

 

■新たなフロンティアを発見する

 今回、「行かずとも居るかたち」の鍵となるARを企画・開発したのは、ダンクソフト企画チームのメンバーで、彼の故郷はトルコです。人とのコミュニケーションが好きで、技術力があります。ギャラリーに足を運び、現場の状況をよく観察して、何が足りないか、どんな可能性が潜んでいるかを見出し、きめ細かい心配りで、このARシステムを企画してくれました。

 3月に「3つのD」についてお話ししました。「Digital(デジタル)× Dialogue(対話)× Diversity(多様性)→  Smart(スマート)」というものです。企画チームが日々取りくんでいることは、まさにこうした意味での「Smart(スマート)」の創造です。

 『デジタル・テクノロジーを有効に活かすには、「デジタル・テクノロジー」だけにとらわれてはならない』という話題を、2月のコラムで取りあげました。そのなかでも触れたとおり、ダンクソフトは「はたらく」を「楽にする」という未来をいつも見ています。デジタルを活用したちょっとした工夫で、業務がうんと楽になるということはよくあります。そうすれば、思い描く未来を引き寄せるために、お客様は、自分たちの時間をもっと有効に使うことができます。私たちは、そのために、さまざまな新しいサービスを生み出してきました。Digital Re-Creation。みなさまもデジタルで新たな「はじまり」をつくりませんか。ぜひ企画チームにお問い合わせください