事例:テレワークが創出した瀬戸内市の新たな“魅力と雇用”

お客様:ストックウェザー株式会社様

岡山県瀬戸内市との実証実験を機に、テレワークの取り組みを事業化した企業がある。個人投資家向け情報サイトを運営するストックウェザー株式会社様だ。テレワークにより、瀬戸内市の“魅力と雇用”を創出することへ貢献し、働き方の “新たなはじまり”をつくっている。今回は、このストックウェザー社の取り組みについて取り上げる。

(写真左より、ストックウェザー株式会社 代表取締役社長 桐山康宏氏、瀬戸内市企画振興課 松井隆明氏、株式会社ダンクソフト 開発チーム マネージャー 竹内祐介)

(写真左より、ストックウェザー株式会社 代表取締役社長 桐山康宏氏、瀬戸内市企画振興課 松井隆明氏、株式会社ダンクソフト 開発チーム マネージャー 竹内祐介)

テレワークで、暮らしも仕事も市内で完結できる環境を

岡山県瀬戸内市は、瀬戸内海に面した温暖で住みやすい地域だ。岡山市と隣接していることから、瀬戸内市から岡山市へ通勤する人が多く、ベッドタウンという一面を持つ。瀬戸内市とダンクソフトは、2016年頃からデジタル・テクノロジーを活用した地域活性化に関する対話を重ねていた。その流れで、2017年10月から、テレワークを活用した地域の新しい働き方づくりを具体化していった。テレワーク構想をすすめるうちに、東京に本社を置くストックウェザー社の抱える課題と親和性が高いと判断したダンクソフトは、ストックウェザー社にプロジェクトへの参加を促した。

個人投資家向け情報サイトを運営するストックウェザー社にとって、投資信託や株式の情報をインターネット上で参照するために、情報を収集したり入力したりすることは、とても重要な業務だ。従来は、本社を置く東京エリアだけで業務を行っていたが、入力業務ができるスタッフをさらに確保することが必要となっていた。ストックウェザー社は、ダンクソフトからの提案を受け、瀬戸内市にテレワーカーを育成し、金融情報の収集や入力業務を任せることにした。ダンクソフトの支援のもと、ストックウェザーは、2018年1月から10月まで、2期にわたり瀬戸内市テレワーク実証実験事業支援業務とテレワーク運用支援業務へ参加した。

瀬戸内市企画振興課の松井隆明氏は、テレワークの実証実験を行うことになった背景に関して、こう振り返る。

「瀬戸内市は岡山市にとても近いので、岡山市へ働きに行く方が多いです。中には、通勤時間を短くしたい方や、子育てのため時間や場所に制約がある方もいるので、暮らしも仕事も瀬戸内市内で完結できる環境を作らないといけないという危機感や思いがありました。当初は、瀬戸内市内にテレワークのニーズがあるのかまったく予測がつきませんでした。ダンクソフトさんの支援のもと、2期にわたり実証実験を行いました。育児・介護をしている瀬戸内市在住者を対象として第1期のテレワーカーを募集したところ、多くの市民の皆さんから問い合わせがあり、大変驚きました。セミナーや講習会を経て、13名のテレワーカーが誕生しました。第2期は、さらに17名の新たなテレワーカーが生まれ、ストックウェザーさんの事業をさらに推進していただきました。」

いまでは、約30名の瀬戸内市民が、ストックウェザー社のテレワーカーとして仕事を担っている。

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テレワークによる“新たなはじまり”

今まで遠隔地のスタッフと連携して仕事をするテレワークに取り組んでいなかったストックウェザー社も、この実証実験で、瀬戸内のスタッフたちとのプロジェクトを進めるために、初めてテレワークを導入することになった。

代表取締役桐山康宏氏は、こう回想する。

「遠隔地からテレワークで働いてもらうのは当社にとっては初めての経験であり、事業をつくるところから始まりました。まずは、ファンドごとにインターネット上に公開されている目論見書をダウンロードし、ストックウェザー社の情報サイトにアップロードする業務をお願いしました。開始してみて、試行錯誤しながら、質や納期の調整への対応などに課題があることがわかりました。テレワーカーの家庭の事情で納期に変更が生じる場合には調整が発生しますし、テレワーカーからの問い合わせにも丁寧に応対します。きめ細やかにコミュニケーションすることで課題を解決していく必要がありました。」

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 ■コミュニティの活性化を、デジタル・テクノロジーが支える

瀬戸内と東京という離れた場所を結んでプロジェクトを進行し、テレワーカーとの連携をはかるうえで、「デジタル・テクノロジー」が欠かせない。しかし、瀬戸内市のテレワーカーのデジタル・リテラシーはさまざまであり、SNSのように簡単に使い始めることができるツールであることが求められた。また、機密情報などの取り扱いにも耐えうる、セキュリティが確保された安全な環境であることが重要だ。そこで、進捗管理や情報共有などのコミュニケーションを支えるために、「ダンクソフト・バザールバザール」を活用した。

 ストックウェザー社の桐山氏は、バザールバザールをこのように評価する。

「バザールバザールがあることで、テレワーカーとの情報共有がとてもやりやすいです。バザールバザールがなかったら、連絡手段がメールになるのでしょうが、さすがにメールだと煩雑になり、やり取りが大変だっただろうなと思います。」

  ダンクソフトからは、バザールバザールの開発者でもあり、徳島サテライト・オフィスからテレワークで働く竹内が、プロジェクトに参加した。バザールバザールの導入と運用を支援し、テレワークしやすい環境づくりを担当した。竹内は、瀬戸内市のコミュニティの活性化につながることを、一つ一つ築きあげ、ストックウェザー社、瀬戸内市のテレワーカーのあいだを担う存在として、プロジェクトを支えた。

「瀬戸内市は、育児や介護などの家庭の事情を抱えながら、柔軟な勤務時間で仕事ができる求人が少ないと聞いています。そんななかで、ストックウェザー社の事業は、柔軟な勤務時間で仕事ができるチャンスを提供しています。瀬戸内市の皆さんは、岡山市に働きに行く必要がなく、安心して住むことができるので、瀬戸内市に住む魅力が増し、コミュニティがより良くなるきっかけになると思います。」と、プロジェクトに期待を寄せている。

さらに、瀬戸内市の松井氏は、

「バザールバザールを利用することで、非常に効率がいいと思います。テレワーカーのみなさんが、ハードルなく使っているので、共有する『場所』の一つになっていると感じています。」と、このツールがあることで、テレワーカー・コミュニティがうまれたことを評価した。

ダンクソフトは、デジタル・テクノロジーの活用により、テレワーク実現を通じて、自治体や企業の「コミュニティの活性化」を支援してきた。ここ瀬戸内市でも、テレワークをめぐる新しいコミュニティが始まりつつある。

瀬戸内市の「魅力」を高めるテレワーク

瀬戸内市では、ストックウェザー社の他にもテレワークを活用した事業がスタートし、働く選択肢が拡がっている。岡山県内でまだテレワークに取り組んでいる地域は少なく、“より働きやすい地域である”ということが、瀬戸内市の魅力のひとつになりつつある。

ストックウェザー社 桐山氏は、「継続的な実証実験により、テレワーカーの経験値が蓄積されており、スタッフが育っていることを実感しています。金融情報の入力は、正確さとスピードが求められる仕事なので、経験のあるテレワーカーの存在が当社の強みにもつながります。今後は、当社の業務のみならず、他社の金融情報の入力業務を担う事業を、瀬戸内市の皆さんと展開していきたいと考えています。これを機に、瀬戸内市に子会社を設立しました。さらにひろく、質の高いテレワーカーと連携していきたいと考えています。」と、今後のテレワークへの展望を、力強く語った。

 

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導入テクノロジー

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ストックウェザー株式会社

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