2019年 年頭所感

2019年をインターミディエイター元年に

新年あけましておめでとうございます。

 昨年は、ウェブチームの活躍、地方展開、クラウド・サポート推進などのハイライトが光る一年でした。一方、オフィスでの雨漏りからの業績鈍化、長年勤務した社員の離脱もありました。しかし、やはりピンチはチャンスでした。その後、採用活動は好転し、新たな優れたスタッフの参加にも恵まれました。そして、2019年5月には本社を移転します。よりよいDUNKSOFTへのチャレンジの機は、いままさに到来しています。

 元来、DUNKSOFTは、デジタルではじまりをつくる、「Digital Re-Creation(リ・クリエーション:再創造)」の未来を描くことに長年携わってきました。“デジタル・テクノロジー”を駆使して、人のポテンシャルを引き出す。コンピュータと人間と社会の“インターミディエイター”となって、ビジネスと暮らしを「楽」にする。“インクリメンタル・イノベーション(漸進的イノベーション)”で、失敗も含めて小さな変革を積み重ね、新しい価値観をつくる。それを36年間続けてきました。この役割は、さらに進化しながら新たなステージに向かっていくでしょう。そういう流れが、いま、来ています。

 「インターミディエイター」とは、いろいろな人、モノ、地域などの「あいだ」に入り、それぞれの価値を見出し、次の新しい展開をつくる存在です。皆を牽引するリーダーではなく、関係の結節点を担う、「あいだ」を結ぶ役割です。目立たないけれど欠かせない、システムのかなめです。DUNKSOFTの風土で育くまれてきたこうした価値が、これからさらに評価される時代が来ています。

 2019年は、2020年東京オリンピックを目前に、さまざまな動きが加速します。なかでも喫緊の課題が、ハードとソフトの双方を含めたデジタル・テクノロジーの有効活用とその環境整備です。

 そうしたなか、DUNKSOFTの2019年は、地方も都市も含めて、助け合い、共に学び合う「Co-Learning」の環境づくりをしながら、パートナーや社員を増やし、より自在な働き方によって、未来への挑戦を推進する一年になります。

 少子高齢化は日本全体の課題ですが、東京など首都圏と地方では課題のあらわれかたが異なります。東京は人が足りない。地方は働き方の選択肢が少ない。私たちのサテライト・オフィス展開は、そうした相互のニーズをマッチングさせる取り組みとして徳島から始まり、他の地域にも拡がっています。地域活性化対策としての移住が注目されていますが、移住では競争が生じ、人の奪い合いになります。それは幸福ではありません。さまざまな地域にいる人たちが、DUNKSOFTとの出会いで、生まれたところでそのまま働ける。コミュニティーもできる。そういう生き方、働き方ができる。選択肢を広げ、人がより自由になれるしくみづくりが、サテライト・オフィスのひとつの意義です。場所は私たちが選んでいるのではなく運ばれてくるご縁を大切にしており、そういう意味では時代の風に乗っているとも言えるでしょうか。今年は中四国地方に複数拠点を展開していく見通しです。

 また、2019年は、子どもたちに私たちの働き方を見てもらう機会を増やしていきます。昨年おこなった遠隔イベントでは、高知の漁村とオンラインでつなぎ、中学生14名、そして先生たちに、デジタル・テクノロジーがもたらす未来を体感していただきました。これからの働き方は、もっと自由で流動的になっていきます。制約や束縛から解放されていきます。ただ、過疎地に限らず実際にはそれを体験したことのない大人がほとんどです。柔軟な働き方モデルの提示によって、子どもたちの将来の選択肢を増やし、子どもが未来を楽しみに思う社会になってほしい。そして、大人もその姿から学び、新しい環境をつくってほしい。DUNKSOFTとしても、もっとコミュニティー的なあり方に向かっていきたい。「CompanyからCommunityへ」ということを考えています。これからの時代に備えて、多様な人材を確保・連携しながら、新しいビジネスを共に学び、成果を出す風土とともに、カリキュラムも整備された次の組織形態に変化していくきっかけの年にできればと考えます。

 もうひとつ、今年、力を入れていきたい取り組みのひとつが「ご当地銘柄ファンド」です。たとえば環境保全やゴミ減量など、地域課題や社会課題の改善につながる地元企業を、地元の人びとに紹介する。地元に関係する方々が、共感する会社をファンドでサポートする。それによって企業の業績が上がり、地域内で、お金や価値観やつながりの循環が生まれます。子どもたちが地元企業をインタビューして紹介し、地域のライターやプログラミングができる人たちが関わってポータルをつくってもよいでしょう。「ご当地銘柄ファンド」は、投資を媒介とするローカルメディア機能を担っていきます。

 2020年に向けて、キャッシュレスが急速に進み、お金の流通はますます高速になります。それと並行して、贈与(gift)や互酬性(reciprocity)といった数字にあらわれない価値交換が活性化していくでしょう。「ご当地銘柄ファンド」では、目に見えて動くものはお金ですが、交換されるのはそれだけではありません。情報が交換され、アイデアが交換されます。「ご当地銘柄ファンド」が媒介となり、地域の関係が活性化され、より活発なコミュニケーションが起こっていきます。私たちが今まで培ってきたウェブ・テクノロジーの知見、地域で担ってきたインターミディエイターの経験を活かして、ケースをつくり、多地域展開していきたいと考えています。

 物質的価値よりも経験価値が重視される時代です。デジタル・テクノロジーではじまりをつくる「Digital Re-Creation」の未来を、DUNKSOFT自らが実現していく2019年にしたいと思います。

 本年が日本と世界の皆さんにとって、さらなる「Re-Creation」の一年となることを祈念し、新年のご挨拶とさせていただきます。

株式会社ダンクソフト
代表取締役 星野 晃一郎