株式会社日本パーカーライジング広島工場 様

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■導入の背景・課題

○ 創立75周年のタイミングで会社を変えたい
○ 社員がどこでも活躍できる人材になってほしい

 

会社を変えたい、この想いから全てが始まった

代表取締役社長の中山文宣氏が社長に就任し10年が経過した頃、日本パーカーライジング広島工場様は創立75周年を迎えようとしていました。

節目の年を迎える中で、中山氏は自分が行った経営を振り返りながら、ひとつの想いにたどり着いたといいます。「いままでのやり方では会社が変わらない。このタイミングを利用して会社を変えていきたい」

暗中模索しながらも、中山氏は「経営方針自体を会社の次世代を担うメンバーにも一緒に考えてもらおう」というアイデアにたどり着きます。

「社員個人の技量や能力で仕事を進めていくという社風が根強く、個人の力を組織の力に活用しきれていませんでした。社員個人の能力を自社内で満足するのではなく、社外や海外と比べても十分に活躍できる人材になってほしい」という思いが強かったと、中山氏。会社の中核を担い始めた部長・課長10名ほどを選抜して、次世代社員の成長を目的とした方針検討会が始まりました。

 

■導入経緯

○ コミュニケーション課題解決の策であるICT整備の基礎としてペーパーレスを導入

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会社を変える、その土台づくりとしてのペーパーレス

「会社を変えていきたい」という想いの中で、「社員が働く環境を変える必要性」を感じていたといいます。次世代社員による方針検討会でも『上司や部門間の風通しを良くして、もっと楽しく仕事がしたい』といった「コミュニケーション課題」があがっていました。この課題を解決するには「事業をアシストするICTの整備が必要不可欠だ」との認識に至ったといいます。

ICT整備のノウハウを求めていたころ、知人から紹介されたダンクソフトから「日本マイクロソフト オフィス見学ツアー」に招かれます。中山氏と岩金氏は日本マイクロソフトの社内を見学して、ペーパーレスオフィスの可能性を実感します。単に紙を減らすだけでなくペーパーレスによる働き方改革で多くの価値が生まれている事例を目の当たりにした両氏は、ICT整備の土台づくりにダンクソフトのペーパーレス・ストレッチの導入を決めたといいます。

 

■導入

○ 「紙を使った後をどうするか」で変わったペーパーレスへの意識
○ ペーパーレスを発端に働き方改善の構想が広がる

総務部 岩金氏

総務部 岩金氏

ペーパーレスの意識と共に会社の変化が始まった

「ISOを取得した際もペーパーレスという認識はあったが《紙を使わない、紙を捨てる=整理整頓》というイメージが強く《ペーパーレス=電子化》という発想は無かった」と総務部の長である岩金氏はいいます。総務部自体、紙文書を多く扱い、また取引先も紙を多用する先が多いため、「総務・人事・経理では紙の使用が多く、契約書など業務上捨てることができない紙文書が多くある。そのような必要な書類も捨てないといけないのか」とペーパーレスに対して誤解していたそうです。

 
総務部 情報システム課 関岡氏

総務部 情報システム課 関岡氏

ペーパーレス・ストレッチ運営リーダーの関岡氏は普段、ペーパーレス・ストレッチの対象となった本社とは別の事業所で就業しています。ペーパーレス活動のたびに本社へ赴き、ペーパーレス・ストレッチを行う社員たちと向き合っていました。

活動開始当初は、他人事と捉えていたり、作業を面倒に感じていたりしていた社員が、プログラムが進むにつれ、率先してペーパーレスを進めていたとことに驚きを隠せなかったといいます。

「紙を使わない・捨てるためのペーパーレス」という固定念に対し「紙は使って良い、使った後にどうするかが大事だ」と説明すると社員一人一人の意識も変わり、本社で行っているペーパーレス・ストレッチは、プログラム対象外の部門からも強い関心を持たれたといいます。

 
取締役 照下氏

取締役 照下氏

取締役でもあり、ペーパーレス・ストレッチ推進責任者である照下氏は、導入当初「ペーパーレスという響きは好きではなかった。紙をなくして本当にいいのか」と違和感を覚えた一人だったとのこと。しかし現在では、分類と運用を的確に行うことでの効率化を強く感じています。

現在でも業務上、紙を使用する機会は多いといいます。営業先では打ち合わせに持参した書類に書き込むことも多く、スキャンする手間、探す手間を考えると、紙で運用する方が便利な業務もあるとのこと。

「《紙を使う必要性がない》業務では、運用を紙からデータに変更してすみ分けを行っている」と照下氏。運用を整理する重要性を強く感じていました。

 

ペーパーレスが働き方を変えるきっかけに

ダンクソフトのペーパーレス・ストレッチで印象的だったのは、単に紙を減らすのではなく働き方を変えることができるというメッセージだと中山氏。ペーパーレスをした後、社員の働き方も変わりサテライトオフィスなどで働く「場所にとらわれない働き方」に考えが及んだそうです。

プロジェクトの中心を担った関岡氏からは、「必ずリバウンドします」というダンクソフトからの言葉に驚いたといいます。数々の企業のペーパーレス化をしてきたダンクソフトの経験から出た一言でしたが、かなりの衝撃だったとのこと。「紙を使っても溜めないようにする、仕事のやり方そのものを変えないとペーパーレスは維持できない」ということに納得され、自分自身を振り返った瞬間だったそうです。

 

■効果

○ ペーパーレスで土台ができたことでICT活用による新規事業構想が生まれる
○ 社員の能力アップやコミュニケーションの課題も解決に進む

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情報の整理が起こすビジネスの芽吹きと課題解決

経営者の立場から見たペーパーレスについて、情報の整理ができたことが最大の効果であると中山氏。すでに作成中の中期経営計画の中でICTを活用するアイデアが芽吹いており、ビジネス展開に手ごたえがあるといいます。また課題として感じていた社員個人の能力アップや情報共有、コミュニケーションについても課題解決の土台がこのペーパーレスでできたと感じているそうです。

日本パーカーライジング広島工場様では大量の紙文書などを廃棄しましたが「綺麗になりました!」と、ご自身の職場に誇りや自信を持たれている多くの社員の方々の表情がすがすがしかったと、ダンクソフトのメンバーも強く記憶に残っています。

 

■今後

ペーパーレスを土台にICTも整備。新規事業を生み出す第一歩が始まる

ペーパーレス活動を行い大量の紙文書を廃棄して約一か月後、ダンクソフトのコンサルタントが日本パーカーライジング広島工場様を訪問し目にしたのは、キャビネットが空のままの状況でした。まだ継続フェーズではなかったのに、ペーパーレスが維持できている光景だったのです。それにも関わらず関岡氏と岩金氏からは「紙のリバウンドが始まっている」という心配の声をいただき、ペーパーレスに対する意識の高さを痛感したといいます。

照下氏は「今回のペーパーレスは共有部分を中心に行ったので、個人部分や社用車などはもっと徹底できる面もある」と今後に期待しています。仕事ができる人はデスク周りが綺麗であることもあり、社員全員がそうなる意識を持ってほしいし、そう思っているのではないかと語ります。ペーパーレスにより整理がすすみ、書類を探す作業も早くなって業務効率の向上も実感していただいています。

現在はペーパーレスで整理した状態を維持する運用ルールを浸透させる段階。ICTを組み合わせて基盤を作ることで会社がどう変化するのかを期待していると岩金氏。社員が効率よく働くことのできる環境構築や、最新のクラウドサービス(Office365)を使うことでセキュリティーも担保され、お客様からの信頼感も高まるのではないかとの期待も膨らみます。

今回、大手町本社の各部署でペーパーレス活動ができたことで、バラバラだったファイル保存の考え方が統一されていく起点になればと関岡氏も顔をほころばせます。「ペーパーレスに続いてICTも整備していけば、仕事の進め方が大幅に改善され負担が軽減するだろう。負担軽減によって生まれた社員のアイデアや就業時間を新規事業の種を生むために活用したい」と、強いまなざしで中山氏が未来を語っていたのが印象的でした。

 

取材に同席したダンクソフト代表取締役の星野からも一言

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「スキャンする」という言葉が出てきましたが、ペーパーレスが浸透しているダンクソフトでは、スキャナーを使う機会が滅多にありません。世の中にあるデータはPCで作られたデータを印刷したものが大半です。取引先から印刷した資料をもらうのではなく、データで入手することができれば、業務効率はさらに加速します。

ペーパーレスは、スタンスを変えるだけで継続が楽になりますと語った。実際にスキャンすると、データ化はできるものの探すのが大変だったり、本当は残さなくてもいいスキャンデータを作っていたりする可能性もあります。再利用できないデータをいくら作っても仕方ないので、そういった「スタンスを変える」啓蒙も今後のステップとしては重要ですとお伝えしました。

次のステップはICT整備。ダンクソフトはアドバイザーとして関わらせていただき、ペーパーレス化した日本パーカーライジング広島工場様の今後をご一緒できる貴重な機会をいただいています。今後も日本パーカーライジング広島工場から目が離せません。


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創業は1940年。広島県広島市中区大手町に本社を置き、金属表面処理、道路標識、道路標識の製造販売などを行う。
http://www.hiroshima-parker.co.jp/