「コ・ラーニング」という考えで仕事をすれば、仕事はもっと楽しくなる


 ▎コ・ラーニング:「仕事を楽しく」進めるカギ

 

ダンクソフト 代表取締役 星野晃一郎

ダンクソフト 代表取締役 星野晃一郎

星野 前回7月に、新年度のはじまりとして、「コ・ラーニング元年」のお話をしました。

 今回はその続きで、「コ・ラーニングという考え方で仕事をすれば、仕事はもっと楽しくなる」という話をしたいと思っています。

今日は、当社の新たなプロジェクトに取り組んでいる板林淳哉と一緒です。さまざまな現場で起きる、実際のエピソードを交えながら進めていきましょう。

ダンクソフト 取締役 板林淳哉

ダンクソフト 取締役 板林淳哉

板林 今日は、ダンクソフトが大事にする「コ・ラーニング」や「対話の文化」が、プロジェクト現場での「楽しさ」につながっていることを、少しでもお伝えできたらと思っています。

 

▎コミュニティの活性化には、ARサービス「WeARee!(ウィアリー!)」

 

板林 早速ですが、まず、ある現場でのエピソードからお話したいと思います。新製品開発のプロジェクトです。

 

ダンクソフトは、2020年11月に、ARサービス「WeARee! (ウィアリー!)」をリリースしました。これはコミュニティづくりを促進することができるツールです。簡単な操作で、ARコンテンツをインターネットにのせることができます。そしてウェブページを作成し、参加者と交流することができるというものです。

機能的なメリットとしては、GPSの位置情報を紐付けるのはもちろん、3Dモデルが使えること、手頃な価格帯、専用アプリ不要の使いやすさなどがあります。

 

手軽で使いやすいツールなので、これまでデジタルに馴染みの薄かった人にこそ楽しんでいただけると嬉しいです。誰にでも使ってもらえるツールを目指しています。

 

星野 そうそう、そこは常々ダンクソフトでも考えていることですよね。この神田オフィスにあるダイアログ・スペースにまつわる情報を WeARee! にのせたいですね。お客様やスタッフがバーチャルで訪れて、見学をして、楽しくコミュニケーションができるようにしたいなと。先日は北海道からも WeARee! への引き合いがありましたね。

ダンクソフト神田本社内のダイアログ・スペース

ダンクソフト神田本社内のダイアログ・スペース

 板林 参加者同士で継続的にコミュニケーションがとれる状態をWeARee!でつくれることもポイントですね。これからはビジネスにせよ、コミュニティの活性化にせよ、一方向ではなくて、コミュニケーションがカギですからね。

 

参考記事:WeARee! 導入事例:上野動物園で実施した実証プロジェクト

▎美術館 × WeARee! のアート・プロジェクト

 

板林 今、このWeARee! を使ったユニークな取り組みが、現在進行形で進んでいます。まちなかのパブリック・アートを対象として、屋外オープン・スペースで鑑賞イベントを開催しようというものです。

東京都美術館と東京藝術大学が「とびらプロジェクト」というソーシャル・デザイン・プロジェクトを実施しており、「とびラー」と呼ばれるアート・コミュニケータたちが活躍しています。広く一般から集まったメンバーの方々で、3年の任期後も有志でさまざまな活動を続けています。この活動は、その「とびラー」OB・OGチームとの協働プロジェクトなんです。

 

星野 当初は美術館での館内イベントを考えていたんですよね?

 

板林 そうなんです。ですが、撮影条件や現場のオペレーションなどを具体化しながら話し合うなかで、まちなかのパブリック・アートを対象として屋外でやってはどうかという、アイディアが思いがけず浮上しました。

 

いろいろ考えていくと、その方が、制約が少なく、参加者が楽しめて、WeARee!の機能もフル活用できるね、と。主催者の「かなえたいこと」を聞くことで、私たちダンクソフトのメンバーにも新たなアイディアがわきました。最新の技術やツールをどう使えるか、何ができるか、もっと面白い可能性はないか。相互の対話の中から、どんどんよりよい意見が出てきました。

▎「コ・ラーニング」が新たなアイディアを生む

 

星野 双方のプロジェクト・メンバーのあいだで思いがけない見方が生まれたというのは、対話の効果ですね。

 

板林 はい、まさに対話を重ねて、お互いにイメージや理想を出し合うことで生まれる相乗効果でした。誰かがアイディアを出すと、別のメンバーから「それならば」とさらなる発想が飛び出してきます。その繰り返しでした。結果、当初は誰も想像もしていなかったグッド・アイディアが生まれたのです。

 

星野 いいですね。そのプロセスは、まさに「コ・ラーニング」が起こっていますね。

 

板林 WeARee!の開発チームには、トルコ人のメンバーも参加しています。多様性のあるチーム・メンバーから、いろいろな見方が入ることも、プロセスを楽しくしていると思います。

 

星野  結果として“誰も予期していなかったこと”が起こっているのが、大事なポイントですね。予定したことを予定していた通りにやることは誰でもできるし、案外簡単です。そうではなく、予定調和ではなくて、予期していなかった成果・効果が生まれるコミュニケーション・プロセスは、ダンクソフトならではですね。

 

お客様との関係が、発注・受注の関係ではなく、お客様・サービス提供者という立場を超えて、パートナーとして「一緒になって取り組む姿勢」がプロセスを楽しくしますね。これが「コ・ラーニング」のはじまりです。どちらかが相手の上に立とうとすると、この関係は生まれません。

 

目線を合わせて、一緒になって考えることができるから、お客様が求めていたことがよく見えてきますし。多様な人たちがお互いに対話するなかで、新しい発見がありますから、おのずとイノベーションが生まれやすい。お客様も、何が課題で、そのためにデジタルで何ができるのかを、よくご自分で理解できるようになっていただけます。

  

▎コミュニティが活性化すれば、日々の業務連絡さえ楽しくなる

 

星野 日頃の職場でのちょっとしたやりとりも同様ですね。対話の文化があれば、コミュニケーションにストレスが少なく、事務的なコミュニケーションにさえ楽しさが生まれたりもします。

 

板林 それでいうと、最近のダンクソフトでは、スタッフが日々の仕事を報告する「日報」が割に面白いんです。一般的な、形式的な日報とは印象がずいぶん違います。たとえば「今日のBGM」を書き添える人がいたり、毎回なぜかラーメン店情報をつけていたり。高専(高等専門学校)を卒業したばかりの新入社員が入ったことによる新しい風も感じています。

 

星野 徳島の山本君ですね。彼の日報は、ちょっとしたショート・コントになっている気がしますよ。先日のは、チョコボールの“当たり”が出た小話でしたね。話にオチがあるのは関西文化圏だからかな?(笑)

 

板林 なるほど(笑)。読んでいて楽しい空気が出てきたのは確かですよね。だからでしょうか、思わず反応を返す人もいますし。

 

星野 ただの事務連絡に見えて、実はちょっとした雑談も交えた会話のいとぐちになっている。ささやかに思えるかもしれませんが、コミュニティの活性化にとって、情報共有の仕方ににぎわいがあることは、とても大切なことですね。業務連絡といいながら、ゆるやかなコミュニケーションが生まれ、人間関係を確実に豊かにしてくれていますよ。

  

▎「ダンクソフトと仕事をすると楽しい」:その意味

 

星野 お客様から「ダンクソフトと仕事をすると楽しい」という褒め言葉をいただくことがよくあります。ビジネスやプロジェクトが、対話重視、コ・ラーニング重視の現場になりつつあるからだと考えています。こうした「仕事の楽しさ」は、単にオモシロ・オカシイということではありませんね。むしろ一方向ではない楽しさや、一緒に学び続ける楽しさ、また、見たことのないものに向かう楽しさや、ともに変化・成長する楽しさなのでしょう。

 

板林 そう思います。そのためにも、社外のお客様にとってもコミュニケーションしやすいパートナーになれているなら嬉しいです。

 

ケニーズ・ファミリー・ビレッジ / オートキャンプ場  川口泰斗氏

ケニーズ・ファミリー・ビレッジ / オートキャンプ場 川口泰斗氏

以前、ウェブのリニューアルで大きな成果を出されたケニーズファミリービレッジさんから、「同じ船に乗ったクルーのよう、仲間のようだ」といっていただきました。

 星野 あのプロジェクトもよかったね。大きな相談事ではなくても、スタッフに気軽に連絡してきてくださるお客様がいるとも聞いています。大事なお知り合いや関連企業をご紹介いただくことも多くなってきました。技術面だけでなく、ダンクソフトのヒューマンな部分も、徐々に信頼いただけるようになってきたからではないか、と考えています。

 

イノベーションは、地道な取りくみの果てにしか生まれません。日々の小さな改良の積み重ねが、やがてある時大きな変化を生み出します。もちろん、大変なことはありますが、一緒に課題を設定し、大変さを乗り越えるのも、また楽しいこと。

 

ただし、対話型、コミュニケーション型であることが条件ですね。ダンクソフトとプロジェクトをご一緒した方たちは、そのあたりを実感して、「仕事の楽しさ」を感じていらっしゃるのだろうと思います。これからも、皆さんとさらに楽しくプロジェクトを進めて、世の中をもっと便利に、よりよくしていきたいものですね。「コ・ラーニング」という考え方で仕事をすれば、仕事はもっと楽しくなると、強調したいです。